第299回 為替介入の話③
はじめに
前回、為替介入の回数の話を書きました。今回はすぐ使えるお金を全部使った時の話をしたいと思います。私は為替のプロでもないですから、へぇ〜ぐらいのつもりで読んでいただくありがたいです。ただ、前々回に書いたように円売り介入の時に得た知識で書いていますので、参考になるなることもあると思います。
すぐ使えないお金
前回のおさらいですが、ある記事によると為替介入にすぐ使えるお金は20兆円ほどあったそうです。その中から3兆円ほど使い介入したそうです。じゃあ、すぐ使えないお金って何でしょう?
簡単に言えばアメリカ国債、米国債ですね。日本は米国債はたくさん持っています。すぐ使えないお金が1兆2000億ドルぐらいで、おおよそその半分が米国債らしいです。それ以外は他の国の債権であったりすると思います。この辺りは検索していただけば出てくると思います。で、すぐ使えないお金を1ドル145円で計算すれば174兆円ほど持っています。改めて日本円に換算すると恐ろしい数字ですね。
それでも一時期と比べれば米国債の保有は減っているそうです。減っている理由としては満期償還が来てその分を買っていないんでしょうね(これは私の勝手な憶測です、そこまで調べていません)。
米国債は売れるのか?
日本政府・日銀は米国債を売れるのでしょうか?少額なら売れるでしょう。ここでいう少額は何億ドルの単位ですけどね。100億ドルの単位では難しいと思います。なぜかと言えばそれはアメリカが許してくれないからです。
細かくは書きませんが、橋本龍太郎首相が1997年6月23日に「米国債を売りたい衝動に駆られることがある」とジョーク交じりにコメントしたことで、NYダウはブラックマンデー以来の下げ幅となりました。このことを「もし売るようなことがあれば(アメリカへの)宣戦布告とみなす」と脅されたとささやかれたと言われています。
これは有名な話で知っている方も多いとは思いますが、これを聞いて日本政府・日銀は米国債を売ることができるでしょうか?だから、使えるお金を調達するには、満期になったものを新しく買わなければ良いわけです。ただ、もし売るときがあれば、当然ですがアメリカ政府と相談になるわけです。しかも内密に行われると思います。
まとめ
立場ある人が冗談でも不用意なことを言ってはいけません。それは相場に大きく関わることです。
今回の為替介入は数ヶ月から数年をかけて20兆円分の使えるお金で行い、もしそれでも足りないようなら満期が来た金額のものを使えば良いわけです。ただ、必ず1回が3兆円でなくても良いのです。最初にかましたので次は1兆円でも良いわけです。介入し続けるというメッセージが必要です。そこは政府・日銀と市場との駆け引きになります。
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