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はじめての京都一人旅日記⑦(自分を好きになれた編)

京都一人旅、二日目の朝。
目を覚ました瞬間、あれ、ここどこだっけ、、となるくらいに熟睡していた。

昨日の思い出と今日の期待をカバンに詰め込み、
さくっと身支度を済ませる。
ホテルをチェックアウト。

朝ごはんを求めて九条駅から京都駅へ向かう。
移動手段は徒歩。
「朝だから」というお調子者な理由で。

ほぼ京都駅に着いたところで、ビルの一階に入っていた喫茶店に行ってみることに。(きれいなビルとは裏腹にお店は古くて居心地がよさそうだった)

カウンター席に案内され、おじいちゃんの隣に座った。
(たばこを吸っていて、いかにも純喫茶ぽいおじいちゃん)

安定のモーニングセット

この旅のルールは、Googleマップやネットの情報を見ずに行き先を決めること。
そう、この喫茶店にいる人に話しかけて情報を得なければならない。

モーニングセットのコーヒーを啜りながら、店員さんに話しかけるタイミングを計っていた。

何やらおじいちゃん2号(後から入ってきた新しいおじいちゃん)が店員さんと、保険の話をしている。おじいちゃんはもう歳だから「保険に入れ」と知人に言われたらしい。

この流れで私も「保険、いいですよ〜」と会話に参加しようかと思ったが、私にはまだ保険の知識も経験も少なく、ちょっと無理だった。

だが、店員さんが気さくな人だと分かったため、お会計のときに話しかけようという決意ができた。

「お会計お願いします」
「はい、〇〇円です」

(小銭を出しながら)
「あの、この辺で景色がきれいな場所ってどこかありますか?」

「う〜ん…難しいね…仕事柄、店にずっといてあまり外に出かけないし、地元の人ほど観光地とか行かないの」

おじいちゃん1号も、
「遠くにいかないときれいなところはないよ」
と教えてくれた。

店員さんも、おじいちゃんも、みんな温かくてほっこりした。
肝心の行き先は決められそうにないので、お礼とごちそうさまを告げて店を出た。
「おおきに」の声が背中をやさしく撫でてくれた。

とりあえず歩いてみよう。
そうして京都駅を過ぎ、思うがままに歩き始めた。

申し訳程度な橋


しばらく行くと、十字路を渡った先に、何やら面白そうなお店があった。
年季の入ったキーカバーやカギが売られていたり、ショーケースにはガンダムや鬼滅、ワンピースのフィギュアが置いてあったりと、男の子の夢を集めたような空間だった。

ガンダムの知識はゼロ
でもかっこいい!

店主のおじさんに話を聞いてみると、売っているものは大体もう今では非売品のレアものだとか。

恋人がガンダム好きなので、お土産にキーカバーを買って帰ることに。
なんて名前のどういうキャラか分からないが、赤いやつしか残っていなかったので、これにした。↓

赤くて目立っていいね

またもやお会計のときに、近くに景色がきれいなところがないか、おじさんに尋ねてみた。

すると思い出したように、おじさんのInstagramの投稿を見せてくれた。

「今年の6月ごろだったかな。たまたま麓に霧がかかってて、雲海が見えたんですよ」

そう嬉しそうに話してくれた場所は、将軍塚という京都市内を一望できるスポット。確かに雲海ができていてきれいだった。

そして、「京都でお伊勢参りもできるんですよ」と日向大神宮という神社も教えてくれた。縁結びの神社ということで、「何かいいご縁はありましたか」と振ってみると、「いやぁ〜わかんないですね」と苦笑い。変なフリしてごめんなさい。

こんな感じでおじさんは、詳しくたくさん話してくれた。
見ず知らずの観光客に親切にしてくれて、とても嬉しかった。

普段は、絶対に自分から見知らぬ人に声をかけることはない。
それは、自分が相手を楽しませる自信がないから。
「つまんないのに、やけに話しかけてくる人だな」「迷惑だ」と、声に出さなくても心の中で思われながら、いわゆるイタいやつ判定をされるのが怖くて仕方ない。

そんな恐怖もあり、つくづく自分が話し上手ではないよな、いつも聞き手だな、と思うけど、それはそれでいっかとおじさんと話していて思った。

自分が話すのは怖いけど、
誰かの話を聞くのは楽しい。
楽しそうに話す人を見るのも楽しい。

おじさんが楽しそうに話してくれたように、自分が会話を始めることで、そして話を聞くことで、誰かを楽しませることもできるのかもと思った。

もちろん自分の話で人を楽しませてみたいとも思うが、
無理に苦手なことをしなくても人とコミュニケーションを取れるなら、
聞き役のままで十分かな。今はそう思う。

「じゃあ行ってきますね」

行き先は、話し上手なおじさんが教えてくれた将軍塚と日向大神宮。

人とコミュニケーションをとるのって意外と難しいことじゃないかもと、
そう思えている自分を抱きしめたくなった。
聞き上手な私は、そんな私を、愛せばいい。

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