「歌川国芳」展@大阪中之島美術館
今年初の展覧会は大阪中之島美術館で開催中の歌川国芳展となった。
なんと前期と後期でほぼすべて入れ替えと聞き、更に今週末で前期が終わりということで、本日慌てて行ってきたのだ。
国芳は、昔、国芳と国貞展を観に行ったことくらいしかなく、国芳単体の展覧会は初めての訪問。
しかも前期と後期で400点ほどの作品となると期待するしかない。
因みに、すべて個人蔵ということなので、それにも驚きだった。
国芳といえば!の武者絵、戯画だけではなく、美人画、風景画、役者絵、そして肉筆画もあり、本当に盛りだくさんだった。
特に風景画はあまり見たことがなかったので、武者絵では見られないような穏やかな雰囲気の作品に、色んな作風で描ける人だったんだなと驚いた。
それでもやっぱり武者絵が個人的に一番好きだった。
国芳の武者絵は、大きく2つのパターンがあるように思った。
まず1つ目は人物の身体全体で力強さを表現しているもの。これは身体をひねったり、躍動感のあるポーズで表現されることが多い。
大体は裸身を見せていたり、甲冑を着ていたりとシンプルな衣装であるか、背景をシンプルにして、身体の動きが見えやすいようになっている。
例えば《「本朝水滸伝豪傑八百人一個 天眼礒兵衛」》(リンク先はWikipedia)。ありえない身体のひねり方だけれども、そのひねりと手足のつっぱり具合で力強さが出ている。
もう1つは、全体的にものすごく装飾的だけれども、顔を大きく描いて、その顔のみで勇壮感を出しているパターン。
よくよく見たら、身体も躍動感ある形をしているけれども、いかんせん装飾的すぎて体の線が見えにくい。
でもそれだけにシンプルに描かれる顔が浮き上がって見えて、且つ太い線で力強く目や口が描かれているので、迫力があるのだ。
装飾も非常に細かいのでそれだけ熱量も感じるし、身体の線が見えにくくても装飾によるうねりみたいなものも感じられるので躍動感はそれだけで十分にある。それにあの顔で勇壮さがダメ押しされているような気がするのだ。
例えば《「真田与一義貞 俣野五郎景久」》(リンク先は小田原市のデジタルアーカイブ)。3人の人物がくんずほぐれつな状態なのだが、実際に見るとなかなかの迫力で、3人の衣装の柄の細かさにどこからどこまでがこの人物の身体か一見分からない。でも3人の塊としての動きも感じられるし、更には顔の力強さが装飾的な画面の中でひときわ目立つっている。
今さらだが、私はこの武者絵に出てくるドングリ眼に太い眉、ぎゅっと結んだ口の、この顔が好きなのかもしれない。
だから役者絵や美人画などの細い線になってしまうと、物足りない気持ちになってしまうようだ。
また国芳といえば、の猫の作品もたくさんあった。猫好きにはたまらない展示かも。
普段そこまで猫に興味はないのだが(可愛いとは思うけれど)、国芳の猫は好き。
あまり可愛く描かれていなくて、時には獰猛な感じで描かれていないのがなんともいえなく好きなのだ。
そんなわけで猫グッズ沢山のショップでも迷いに迷ったが、誘惑に勝って何も買わずに出た自分、えらい。
大変見ごたえのある展覧会だったので、図録を買うかものすごく迷った。
印刷もきれいだったし、どのページもきちんと開く製本になっていたのだ。
でもこれ以上本を増やすのもなー……などと考えた結果、後期も絶対に観に行くのでその時に考えようと、買わずに美術館を後にしたのだった。
でも今家でこの記事を書いていたら、ふつふつと欲しくなってきてしまったので、次回行ったら買ってしまいそうだな……