ぴかつ

「若さは無限じゃないよ」
多くの大人は、私たち若者に言う。

「じゃあ、どうすればいいの?」
「今しか出来ないことをしなよ。性を売るなんて、とてもいいことじゃないか」

------------
新宿のカフェで私たちは初めて出会った。
「こんにちは」
「すみません、迷っちゃって」
そこには、高身長でスタイリッシュな髪型をした、筋肉質の男性がいた。
スポーツ選手みたいな見た目にそぐわず、黒縁の眼鏡をかけていたが、似合っていた。
カフェに入ってから、私はマンゴーフロートを注文した。
「僕こういうの初めてで、どうしたらいいかなあ」
彼は歯にかみながら言う。
私もマンゴーフロートを少し飲んでから、上に乗っているバニラアイスを崩しながら「私も2人目ですよ」と言って笑った。
お互いのことについて、ざっくりと話し合い30分ほどで私たちは店を出た。
「はい、忘れるところだった」
彼は私に5000円を手渡した。
私は流行りのパパ活女子だったのだ。

----------------
彼と2度目に会うことになった。
今度は新宿にある高層ビルの最上階でのディナーだった。
美味しいお肉と、飲んだこともないようなワイン。
彼は「パパ活ぽいでしょ?」とからかうように言った。
私は年上の余裕とワインに酔いつつ、この人とだったら一晩過ごしてもいいなあと思った。
全てを食べ終えビルを出るとき、彼は「キスさせてくれる?」と言い、私に約束の2倍のお金を渡した。
私はきっとそんなお金がなくても、させていただろうが、これはきっと彼なりのケジメだった。
ビルを出た影で、私たちは深い深いキスをした。
20近い歳の差は、全く気にならなかった。
「私のどこが好きなんですか?」
帰り道、改札まで送ってくれる彼にふと、そんな質問をした。
「顔が凄いタイプなんだ。もちろん、性格もだけど!」
少し悲しくなって、私は硬く繋いだ手を少し緩めた。

2020.12.04

いいなと思ったら応援しよう!