蝕刻-エッチング加工
まず、蝕刻と言われたらどんなものを思い浮かべますか?
まあこんなものを思い浮かべると思います、ステンレスなどに溝が掘られていて、墨入れになっている。
蝕刻加工自体は見ての通りかっこいいし耐久性にも優れた良いものなのですが、どうやら少し誤って認識してる人も一定数いるそうで、私も誤った認識をしていたのでにわかではありますが簡単に解説したいと思います。
超簡単目次
1.蝕刻加工とは何をする加工なのか
2.蝕刻っぽいけど蝕刻じゃないもの、見分け方
1.蝕刻加工とは何をする加工なのか?
蝕刻とは簡単に言うとステンレスなどの金属を薬物で溶かし、溝を作る加工です。
素材にテーピング(その薬剤で溶けないもの)
↓
蝕刻で掘る部分のテーピングを切り取って行く
↓
薬剤を上から当てて溶かす
この工程をすることでテーピングを取った部分が溶かされ溝になります。(ペンにしている場合の大半)
切削や刻印などより簡単に自由度の高い溝が作れるのがメリットです。
これがわかりやすいと思う。
そして一番多い誤解で私も間違えていたのですが、墨入れ(色入れ)は蝕刻加工ではありません。
あれはあくまで蝕刻加工で作った溝に入れているだけです。
blog.livedoor.jp/omas1972/archives/45958502.html
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b1059797540
また上記のように黒以外にも白、少数派ではありますが赤青緑などの色が入れられたペンもあります。
白はPILOTがわりかしやっていて、ミューストライプやキャップレスなどには黒入れのモデルと白入れのモデルの二つがあります。
そしてもう一つの誤解ですが、蝕刻はロストテクノロジーじゃないです。確かに最近ペンにされることは少ないですが、今でもシルバーンやエッチングルーラーなど文房具にやっている事例もあります。
それに蝕刻は半導体生産で現役で使われています。
2.蝕刻っぽいけど蝕刻じゃないもの
蝕刻といえば、剥き出しの金属に加工して墨入れが一般的ですが金属に溝が掘られていて墨入れされているから蝕刻なわけではありません。
例を紹介すると右のペンと左のペン、どちらも金属に溝、そして墨入れです。
しかし右は蝕刻ではありません。
左は蝕刻加工で深めのストライプが掘られており、墨入れもされています。
対して右は浅い格子柄の溝が切削か何かで掘られていて墨入れがされています。
これらのようなペンの蝕刻かどうかの見分け方は
1.溝の深さ
2.溝の端のガタガタ具合
3.その他の要素
があります。
1.溝の深さ
これは簡単で、蝕刻を使わないとなると切削加工がメインになるかと思います。
しかし切削で蝕刻ほど深い溝を掘るのは難易度が高く、コストがかかるため浅目の溝で終わっていることが多いです。
ZEBRA製品はこれがわかりやすく初代シャーボの格子柄は横線が螺旋状になっており、これはおそらく切削しやすくするための工夫です。
2.溝の端のガタガタ具合
これはどう言うことかと言うと、ペンにされる蝕刻加工は薬物で溶かしているため端がガタガタになっていたり本来されないところまで少し掘られてしまっていたらと基本的に荒いところがあります。
このような削りすぎなような跡があれば、ほとんど確定で蝕刻と言い切れます。ルーペなどで見た時に端がガタガタしているものも蝕刻の可能性は高いです。
3.その他の要素
ゼブラ製品などは格子柄を作る時に蝕刻をあまり使いません、代わりに切削が使われています。
先ほども言った通りゼブラの格子柄の横線は繋がっている螺旋状となっており、横線は一回で切削しきれるように工夫がされているのです。
このような要素から切削だから蝕刻じゃない、のように判断することもできます。
番外編
蝕刻はやっているメーカーは多いですが、なかなかやりたがらないメーカーもいました。一部の例を紹介します。
ぺんてる→基本柄を作るならプリント、蝕刻は使わない
ゼブラ→格子柄などの簡単なものは切削、複雑なものは蝕刻
蝕刻加工は職人さんがいなくなっていったからやられなくなったとか聞いたことはありますが、実際はどうなんでしょうね。
流行っていた当時でもやらないメーカーもいたぐらいですしハードルはありそうです。
各社の蝕刻の特徴(順次追加)
私は蝕刻加工が大胆にされているものはあまり持っていないので、持っているメーカーから順次追加します。
(ABC順)
PILOT
・溝が深い、単調なパターンの蝕刻でもグリップとして成り立つ。
・長方形などの縦向きな柄が多い
SAILOR
・溝が浅い、蝕刻だけではそこまで滑り止めにならない。
・ストライプがかなり多い
ちなみに、蝕刻加工がされているペンのほとんどはステンレス製ですが、別にステンレスにしかできないわけではなくて
ゼブラのエッチングシャーボやパイロットのh5005では真鍮、ブラスに蝕刻加工をしています。
読みずらい文章になってしまった気がします、申し訳ない。
ただこれで蝕刻に関する誤解はある程度解けるハズ…
これからも楽しい蝕刻ライフを送りましょう。