障がいのある生徒②〜この子を殺す気か!医師に怒鳴られたこと〜
※このお話は、実話に基づいたフィクションです。実在の人物や団体などとは一切関係ありません。
本人の様子と学校の対応を確認するために、中学校を訪問しました。次に来てもらうまでに、本人、保護者から受験での配慮と入学後の要望等を聴き取り、まとめることをお願いしました。
それを受け、本校で「できること。できないこと。」を明確にして、情報を共有します。
また、主治医と直接連絡を取って良いか本人と保護者に了承をとってほしいとお願いしました。
2 関係機関との連携
中学校はもちろん、教育委員会と主治医と連携を取りました。
本校での対応について、逐一教育委員会へ報告するとともにアドバイスをもらいながら話を進めます。しかし、前例がなく初めての事案ということで手探りの状態が続きました。
さらに、主治医への面談の了解をもらい、病院を訪問しましたが、「あなた方は、この子を殺す気ですか!」とすごい勢いで怒鳴られてしまいました。「あの子の症状で高校は絶対に無理だ。親もこの子の病気をいまだに受け入れていない状況で、あなた方に一体何ができますか。」「不可能です。協力は一切できません。」と突き放されてしまいました。
同行した先生も困惑し、「どうしましょう」というのが精一杯です。帰り際、同席した看護師さんが近寄ってきて「先生の言い方がきつくてすみません。」「何かあったらお知らせください。」「あの子のためにありがとうございます。」と言ってくれたのが唯一の救いでした。
主治医の立場での考えも理解できます。本人や保護者の希望もわかります。さあ、どうしたら良いのか。「生きるとは」「死とは」「命とは」・・・ いろいろなことを考えましたが、とにかく「今、この子に必要なものは何か」を再重要視することにしました。
本人と保護者の希望は、「とにかく学校には迷惑をかけない」「怪我をしても死んでも文句はない」「自分のやりたいことがしたい」ということです。
医師の協力は、後々連携を深めていくしこととして、とにかく前に進みましょう。
医療とは? 自分のやりたいことができない人生とは? 治療だけに時間を取られる人生とは? 命には限りがありますが、それを伸ばすだけが医療の目的でしょうか。「生きがい」は大切ではないでしょうか。この間にいろいろなことが頭の中をよぎります。 我々はとにかく「この子の笑顔が見たい」そのためにできる限りのことをしてあげようと決めたのでした。
つづく