緊急事態宣言で交通はどうなる?: 4週間前に非常事態宣言を出したアメリカの今日までを追う
今日、安倍首相が7都道府県で5月6日までの緊急事態宣言を出しました。これからの日本の交通インフラはどうなっていくのでしょうか。アメリカではすでに3月13日に国家非常事態宣言が出され、新型コロナウイルスの死亡者数は今日までに9600人に上っています。日本が同じ道を辿らないことを願うばかりですが、アメリカが今日までどのような道をたどっているのか、交通とインフラを主眼にSmartcities Diveのまとめから主な動きを抜粋し翻訳・再編しました。(文責: 伊藤昌毅、翻訳・文案: 孕石直子)
3月13日(金)
米トランプ大統領、国家非常事態を宣言。最大5兆円余りの財政出動が可能に。
1週間目
3月16日(月)
・ トランプ大統領、国民に10人以上の集会を避けるよう要請。(The Hill)
・ ニューヨーク市の公共交通機関、医療サービスの継続的稼働を支えるため運行を継続。一方、バー、レストラン、映画館など「必須でない全てのサービス」が閉鎖。(The New York Times)
・ サンフランシスコ市長ロンドン・ブリード氏、全住民に「必要な場合以外」自宅待機を義務付ける命令を出す。(Twitter)
・ サンフランシスコのベイエリア高速鉄道(BART)、「平常時の」乗客予測数より最大60%乗客数が減少。1日あたりおよそ50万ドル(5.5千万円)の運賃の損失。(Marketplace)
・ インターネットサービスのコムキャスト、低所得世帯に2ヶ月間無料でインターネットを提供する"Internet Essentials" プログラム開始。(WTVR)
・ 全米のおよそ90の市と州、公共料金の支払いが困難な住民を保護するため、コロナウイルス感染拡大の間、水道料金徴収期限を延期。(The Gurardian)
3月17日(火)
・ ニューヨーク市のビル・デ・ブラシオ市長、住民への食糧供給を支援するため、配達員が使用する電動キックボードに対する駐車違反取締りや押収を市内全域で一時的に停止すると発表。(Streetsblog NYC)
・ LyftとUber、相乗りサービス(Uber Pool, Lyft Line)を停止。(Smart Cities Dive)
・ サンフランシスコ・ベイエリアの6つの郡、「自宅避難」を指示。以後3週間、必須事業者を除いて自宅に留まるよう住民に命令。これまでのところ米国内で最も厳しい指示。(San Francisco Chronicle)
3月18日(水)
・ 米市長会議が議会に2500億ドルの支援を要請。新型コロナウイルスの蔓延緩和のための地域の取り組みを支援する目的。(Open Letter)
・ アメリカ公共交通協会(APTA)、新型コロナウイルス対応の直接的なコストに加え、運賃収入の損失や専販税収入の損失を補うため、議会に対し、129億ドルを公共交通事業者に拠出するよう求める。(APTA)
・ ニューヨーク市のメトロポリタン交通局(MTA)、乗客の減少を受け、連邦政府に40億ドルの支援を要求。MTAの地下鉄の利用者数は昨年の同じ日に比べ、月曜日の時点で60%減少、バスの利用者数は49%減少している。(The New York Times)
3月19日(木)
・ Uber、新規ドライバー募集キャンペーンをほぼ全て中止。自宅待機者の増加で需要が増える食品や食料品の配達により注力する計画。Lyftも新規ドライバー開拓を多くの地域で中止すると発表。(Bloomberg)
2週目
3月20日(金)
・ カリフォルニア州「自宅待機命令」を発令、約4000万人が影響を受ける。(Axios)
・ テキサス州のオースティン交通局、テイクアウトやデリバリーに移行しつつある地元のレストランを支援するため、一時的な商品受け取りゾーンを市道に設置。レストランに近接した有料路上駐車スペースを無料の商品受け取りゾーンに一時的に変更することで、配達人のためのスペースを確保。(City of Austin)
3月23日(月)
・ ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏、新型コロナウイルス拡散の懸念で、歩行者が安全に移動できるスペースを確保するため、ニューヨーク市内のいくつかの通りで車を進入禁止にするよう、ニューヨーク市長ビル・デ・ブラシオ氏に呼びかける。(Streetblog NYC)
・ トランプ大統領、国内の人工呼吸器不足を受け、自動車メーカーのフォード、GM、テスラに対し、新型コロナウイルスで入院している患者用の人工呼吸器の製造を許可。(TechCrunch)
3月24日(火)
・ Amazonとゲイツ財団の支援を受けたシアトルでの新たな研究組織、家庭での新型コロナウイルス検査でシアトル市を支援。 (CNBC)
・ ロサンゼルス市の公共交通機関、最大60%の乗客を失う。バスでは乗降を後部ドアのみとし運転手と乗客との接触を避ける。(LAist)
3月25日(水)
・ ニューヨーク市のメトロポリタン交通局(MTA)、乗客の大幅な減少により、地下鉄、バス、通勤電車のサービスを縮小。(The Wall Street Journal)
3月26日(木)
・ ワシントンDCメトロ、乗客数が90%減少し、資金の確保と職員の健康を守るため、17の駅を追加で閉鎖。(WMATA)
3週目
3月27日(金)
・ 米電動キックボードシェア事業大手Bird、従業員の30%にあたる406人を解雇(翻訳者により追加: dot.LA)。
・ ニューヨーク州情報技術サービス局、新型コロナウイルス対応で、増大するIT需要を支援するため、民間のIT技術者を募集。(StateScoop)
・アメリカ人の約9割が「可能な限り」家にいると最新の世論調査が報告。6割が食料や物資を備蓄しているとのこと。(The Washington Post)
3月30日(月)
・ ブルームバーグ・フィランソロピーと米都市交通担当官協議会(NACTO)、公共交通事業者に新型コロナウイルス対策のために各地で展開されている交通戦略に関するリアルタイム情報を提供するオンラインハブを立ち上げ。(Bloomberg Philanthropies)
・ テキサス州オースティン市、ボランティアと食料援助を必要としている住民をつなぐため、「ATX緊急食料システム交換」(ATX Emergency Food Systems Exchange)を設立。オースティン交通スマートモビリティオフィス(Austin Transportation Smart Mobility Office)とフードデリバリーサービスのGood Appleが協力して高齢者や免疫不全の住民に食料品を届けるなど。(City of Austin)
・ 新型コロナウイルス感染拡大によりライドヘイリングの需要が激減する中、米AmazonがLyftドライバーに時給17ドル~の配達業務の機会を提供。(Amazon)
3月31日(火)
・ シカゴ市、マコーミックプレイス・コンベンションセンターの一部を、軽症の新型コロナウイルス感染患者のための代替ケア施設(ACF)に一時的に転用する。(City of Chicago)
4月1日(水)
・ フォード・モビリティの電動キックボード事業Spin、医療従事者に30分間の無料乗車とヘルメットを提供する新プログラム「エブリデイ・ヒーローズ」を導入。(Spin)
・ Uber、病院や高齢者福祉施設など必須施設で働く労働者のために、1,000万回の無料乗車およびフードデリバリーを約束。(The Verge)
4月2日(木)
・ ペンシルベニア州フィラデルフィア市、ホリデイ・イン・エクスプレスに新型コロナウイルス感染患者を収容予定。1,000人にベッドを提供できると期待。(Philadelphia Inuirer)
・ ホノルル市長カーク・コールドウェル氏、ハワイへの不要な旅行を全面的に禁止する命令を出すようトランプ大統領に要求する書簡を送ったと発表。(City of Honolulu)
・在宅勤務の拡大により、全米117の都市で、インターネット回線に負担がかかっていることがBroadbandNow.comの最新レポートにより判明。(CIO Dive)
4週目
4月3日(金)
・ フォード・モビリティの子会社、新型コロナウイルスへの対応支援で、公共交通事業者に交通コンサルティングとデマンドレスポンスソフトウェアを無償提供。(TransLoc)
・ ニューヨーク市の公共交通機関に従事する少なくとも16人が新型コロナウイルスで死亡。メトロポリタン交通局(MTA)の職員の新型コロナウイルス陽性者数は現在744人で、3月30日の333人から急増。自主隔離者は4,229人以上に上る。(Greenpoint Post)
・米国の公共交通機関の利用、通常の約30%に減少とTransitアプリのデータが示す。(The Washington Post)
・ 各自治体がZoomなどのツールを用いてビデオ会議を行うケースが増える中、FBIがこのプラットフォームにはハッカーがビデオ通話を乗っ取って攻撃的な言論や画像を投稿するなどの可能性があると警告。(NPR)
4月6日(月)
・ フロリダ州のジャクソンビル交通局(JTA)、Mayo病院の敷地周辺で自動運転車の使用開始を発表。新型コロナウイルスのための物資や検査サンプルを輸送する。人と人との接触を制限するため、車両に乗客や安全担当者は乗っていない。(JTA)
・ ニューヨーク市、セキュリティ上の懸念から、学校の教員が遠隔授業にZoomを使用することを禁止。市の教育委員会は代わりにMicrosoft Teamsを導入するという。(Tech Crunch)
・ Uber、仕事が激減するドライバーを支援するため、Uber Eatsの配達やUber Freightでの荷物配送などの仕事を探せる新アプリ機能「Work Hub」の提供を開始。(The Verge)