『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』感想 こんにちは、エヴァンゲリオン
さよならではなく、こんにちはでした。
今までエヴァが嫌いでした。パッケージだけの設定、専門用語、ストーリー、キャラクターで、肝心な部分を語らないし、鬱屈としてて何も進まない。だから、嫌いでした。
そんなエヴァを好きになれたので、個人的には漸く "こんにちは"です。気分は『FINAL FANTASY ⅩⅤ』のラストのグラディオラスです。生涯ずっとエヴァには文句を言ったのがシンエヴァでやっと聞きたい事が聞けたので、『ちゃんと言えたじゃねえか』という気分です。なので、僕はイグニスの方が好きなのですが、イグニスでもプロンプトでもなくて悔しいことにエヴァに対してはグラディオラスですね。
まるでFF15を全人類が知ってるような口ぶりですが、むしろまだFF15をやっていないんですか?やってください。
何故、好きになれたのかをここからは紐解いていきます。細かいネタは拾いませんが、シンエヴァに関してはきっと軽くストーリーに触れた内容ですらネタバレなので、まだ観てない人はここから先はご理解を。FF15の方では無いです。シンエヴァです。
端的に言うと、25年経って全てに意味があるようなエヴァがあったからですね。今までのエヴァとは真逆です。シンジもアスカもレイもミサトも……そして、庵野監督自身も全員が全員、自分ときちんと向き合って答えを出しています。
細部は元々、好きでした。そりゃオタクですもん。胡乱な厨二ワードの乱舞。内向的で屈折したドラマ。他者とのディスコミュニケーション。アンニュイな世界観。特撮、アニメ、ドラマ等パロディetc……オタクにとってお菓子パーティーみたいなものじゃないですか。好きですよ。ただそれだけで閉じてしまってたのが、甘いものだけしかなくて酸いが無いのが居心地の悪さが尋常じゃなかったのです。悲観的な境遇にただ嘆くノクトみたいですね。ノクトは普通に可哀想なので、もうちょっとグラディオラスは優しくしてあげても良かったと思います。……いや、それはシンジもだな。
シンエヴァもアバンは"いつものエヴァ"で始まるので早速、胃もたれがしました。ずっとハチミツ食べてられるプーさんてマジ凄いですよね。それが、そうそうに様子が変わり、あの第三新東京市とかいうオタクの天空の城ラピュタみたいな都市が骨の抜けたジブリ映画に出てくるよなのどかな第三新東京村が現れ牧歌的な日常パートに突入した時は、逆にサザエさんがワイルドスピードをやり始めたようなエキサイティングな興奮を覚えたものです。
この日常パート、実際は映画の結構な尺を取っていると思いますが、描かれている文化も芝居も上手くて時間の流れを感じないのが「え、これエヴァなの?」て驚くも、振り返れば庵野監督は『ふしきの国のナディア』でもやっている事だし、日常芝居の妙があったからこそ、思春期が勘違いして羽ばたいた少年の翼のようなエヴァでも支持されていたところがあるんですよね。
地味にこのパートで好きなのがアスカの立ち回りで、落ち込むシンジを投げやりに扱いつつもしっかり慮っているのは見え見えで、ここのアスカの細かい仕草が後半のアスカの出番をより著しく生えさせているんですよね。やっぱシンジに無理やりレーション食べさせる描写は好きですね。
『Q』では出てこなかったトウジとケンスケと加地の役回りも絶妙ですよね。気になっていたキャラクターだけに出てきただけでも嬉しいのに、トウジとケンスケは大人になって、あのエヴァでしっかり大人をやりつつちゃんとシンジの同級生であるトウジとケンスケもやってるていうのがいいですね。こうゆう事をできる技量はあったんですよね、エヴァには。加地もしっかりとミサトを進める為の立ち位置にあって良かったです。
前半のしっかりドラマをやってる方が普通の作品だと好きなのですが、シンエヴァに関しては"いつものエヴァ"に突入する後半の方が実は好きなんですよね。前半があるからこそ、東映の白倉伸一郎プロデューサーさんですら立ちくらみ起こしそうなエヴァ最終回に相応しいトンチキアルティメットエヴァンゲリオンですけど。
ヴンダー3体操る冬月とかもうキレッキレですよね。そこですら追いつかないのに、アスカとマリのグレンラガン、マリのエヴァで『トリコ』やったり、デビルゲンドウ、特撮撮影場で戦うエヴァ初号機と13号機……エボラ熱に魘されようがこんな頭の悪い夢は見ないと思います。実に気持ちよかった。
マリについては、『破』で「この女は俺の嫌いなエヴァを壊してくれる!!」てずっっっっっっと期待してたのですが、まさかお前はニンジャスレイヤーかよて鮮やかさであんなにエヴァを壊す存在になるとは思いもよらず。
『呪術廻戦』の東堂葵が目の前に現れたら、「乳のでかいいい女」て言わなきゃいけないが大変、遺憾ですね。だって東堂にはそう返したいじゃないですか。たぶん、東堂はミサトさん派ですよね。……ケツでかいか?でも、1番九十九由基ぽい。個人的は真希も対象な筈とは睨んでるんですけど、どうでしょうね?因みに呪術は三輪ちゃんですね。ナナミンの方が愛してますけど。ごめんなさい。マリ好きです。乙骨くんは頼むから海外に戻って。
マリはいいですよね。いや乳じゃなく。唯我独尊て感じで。坂本真綾さんで既に声がいいのに坂本真綾さんとサバサバしてるところが近い。漫画の描写を踏まえるとクイアぽいですね。でも、ユイに似てるシンジだから惹かれたのかもしれない。なにそれヤベー奴じゃん。アスカも良かったですけど、まぁでもマリが好きです。
閑話休題。謎空間からエヴァと人類補完計画の肝要のユイから離れて、レイでもアスカでもなくシンジはマリとプラグスーツでも制服でもなく普通の服を着てフィナーレを迎えるというラスト。完パケした絵から原画動画コンテと次第に戻り、またその逆をいって現実的な風景になり、最後には実写で終わるという強烈な演出でアニメからの脱却を描く必要があったのか引っ掛かるものの、エヴァに付き合った期間で溜まったしこりが残らずに春の匂いすら感じられるほどに晴れやかな気分でした。
……突き詰めると、わざわざ「さらば」を描かなければいけなかったのか?そもそもシンエヴァでやった事はここまで時間を掛けないとできなかった事なのか?という疑問が尽きないですが、エンディングを観ているうちに「ここに至るまでの呪いこそエヴァで、そんなエヴァが好きだった」という思いに気づきました。なので、僕は漸くエヴァと向き合えたのです。
FF15だって、途中のキャンプや無駄にCGクオリティが手の込んだおにぎりがあったからこそ、「わりぃやっぱつれぇわ」が心に染みるわけですよ。つまり、FF15は横道に逸れた方がラストの感慨も深くなるんだと思います。すぐクリアせず、操作しづらい車であっちこっち走り回って、美しい景色を見つけたら写真を取って、たまにはチョコボに切り替えてイグニスが直立不動でチョコボに乗る瞬間を捉えては笑い、「イケメンホストみたいな男でゆるキャンやってみた」てYouTuber気取るのもいいかもしれません。
さぁ、次はFF15と向き合う番です。PS5が出た今だからこそ、FF15をやりましょう。
……エヴァ……エヴァですよね。まぁほんとに良かったです。前半パートで子供が大人を導き、後半では息もつかぬバトルパート……それなんて蒼穹のファフナー?て思うところはありますが。シュガシュガルーンのポスターは、cv.松本まりかだから?そうゆうこと?と気になってしょうがないですが。それは胸に閉まっておきましょう。
蒼穹のファフナーはいいですよ。