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本の紹介

【七夕物語】

徳川万三郎筆

その昔街から少し離れた所に幸せ村がありました。
幸せ村の一画に毛沢山と陳珍子の二人の夫婦が牛やらアヒルやら羊やらを
飼って生計を立ててました。
二人の年齢はもう50を過ぎており子供はいません。
ある日毛沢山は陳珍子にお寺に行って子供が出来るように祈願しようと言うと、
縁起のいい7月7日を選び
お寺に行った。
二人で家で飼っていたアヒルを丸焼きにして天帝に御供えをした。
するとその晩二人の枕元で何やら声が聞こえるではないか。
二人はそっと、耳を傾けると、オギャーオギャーと、子供が泣く声がした。
陳珍子は自分のお腹摩ると、
陳珍子のお腹は少し膨れた、
これはもしやと思い
二人は次の朝一番からまたアヒルを丸焼きにして
天帝が祀られている
お寺に行き手を合わせた。
それから10月10日後
毛沢山の見守る中陳珍子は
元気な男の子を産んだ。
二人で赤子に魔太郎と名前をつけた。
魔太郎は自然の中、家畜に囲まれてスクスク育った。魔太郎は幼い頃から
牛に凄く親しんでまるで兄弟のようだった。
魔太郎が16歳の時
牛を連れて湖に行き牛と
戯れていた。
すると湖の中で泳いでいるこれはこれはこの世の者ではない美しい少女が水浴びをしていた。
魔太郎はほっぺたを赤くして少女に近ずき喋りかけた。
少女の名前は天華。
二人はそれから毎日同じ湖に行きいちゃいちゃ
ほっぺたをつまみ合いしたり追っかけっこしたり
楽しい時間を過ごした。
そうこうしてる間に一年また一年と時が過ぎゆくと共に魔太郎の顔から身体のあちこちにシワが出来る、
でも天華はいつまで経っても歳を取らず若いままだった、何故なら天華はこの世の人間ではないからであった。
魔太郎はいつしかやつれてご飯も喉を通らないぐらいにまで年老いた
ある晩の事天華がいつもの通り魔太郎にお粥に栄養があるようにと芋を入れた、芋粥を魔太郎が寝ている
呉座を引いただけの小さな部屋に持って行くと、
魔太郎はすでに生きを引き取ったあとだった。
天華は涙を流して丁度三日三晩泣きじゃくった。
魔太郎の父と母の御供えしていたアヒルの丸焼きの味が忘れられない天帝は
その姿を天からずっと
見て、可愛いそうな二人だ
二人の愛に感銘を受け、
天帝は腰にぶら下げていた
小刀を抜き魔太郎が飼っていた牛の首元に少し切り口を入れ牛の血を少しばかり
頂戴するなり、それと何やら薬草やら混ぜて出来た汁を笹の葉を千切り茶碗に入った汁を付けて、サッサッと魔太郎の身体に降った。
すると五分ぐらい経つと魔太郎の胸元から魔太郎の魂が出てきて天華と共に天に舞い上がった。
天では二人は不老不死の命を天帝からもらい
毎日魔太郎が横笛を吹き天華が琴を弾き、美しい二人の音色が天の川に響き渡る。
二人は末長く愛を奏でるのであった。

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