下手っぴは下手っぴなりに
フリーランスの庭師です。
還暦が近くなった今でも、家でアコースティックギターを弾きながら歌を唄い、定期的にバンド練習をし、年に一度のライブに出ています。
私はバンドのボーカルなのですが、決して歌唱力は高くないです。いや、ボーカリストとしては下手っぴだと思っています。
絶対音感など持っていないし、ハイトーンは出ないし、声量は少ないし、音を外すし(高音でフラットする)、リズムは突っ込み気味だし。
「よくボーカルをやっているよな…。」と思うこともしばしば。
でも歌を唄うことが好きなのだから仕方がない。
中学、高校の頃は大して気にしていなかったのですが、大学で音楽サークルに入ってバンド活動をするようになった頃、自分の歌唱力の低さを痛感しました。
何だかんだ言っても『ボーカルはバンドの顔』。バンドのメンバーが気を遣ってくれるのもプレッシャーだった時期もありました。
さりとてボーカルスクールに通うようなお金は無かったし、現在のようにネット検索やYouTubeが無かった時代です。歌が上手くなる方法を見つけることも難しかったです。
そんな中、あることに気づきました。聞き手に感動を与えるプロの歌手の中にも、歌唱力が高くない方もいます。感動する歌というのは楽曲の良し悪しにもよると思いますが、良い曲ならば誰が歌っても感動するという訳でもありません。
どうしたら人を感動させる歌を唄えるのだろう…
そして辿り着いた答えは二つ。
一つは、感情表現だと思いました。
曲の作り手の思い、詞の中の主人公の思いを感じ取り、それを自分の中で練り直し、最大限に表現すること。
もう一つは個性 (オリジナリティ)。
特にコピー曲を唄う場合。ただ単に唄うのではカラオケと変わりません。カラオケは基本的に自己満足の世界ですが、客を前にして唄うのは訳が違います。コピー曲だとしても『自分の曲』にしなければいけないと思いました。
そこで二つのことを実践するようにしました。
一つ目が歌詞を理解する。
バンドの選曲会で曲が決まると、暇さえあれば歌詞を読んでいました。そこに書かれた内容から何を言いたいのかを突き詰めようとしたのです。
二つ目が真似をしない。
コピー曲の場合、何度も何度も原曲を聴いていると、その歌い手さんの癖までコピーしてしまうリスクがあります。それでは歌真似です。なので、メロディを覚えた後は原曲を聴かないようにしました。その結果、原曲と唄い回しが違うこともありましたが、それが自分の歌だと思いました。
この二つを実践することによって歌が上手くなったとは思いませんでしたが、唄うことに自信が付いたのは確かでした。かっこ良く言えば、『人事を尽くして天命を待つ』的な感じです。
唄うのが好きなんだから、思いの限りを乗せて、好きなように唄えば良い。
だけど、プロでは無いにしても、聴いてくれるお客さんの時間とお金 (僅かですが) を頂いているのだから、少しでもお客さんの記憶に残るよう全力で唄おうと。
若かりし頃の情熱だったのかもしれません。
今現在はなかなか実践できていません。何度も詞を読むことはしなくなりました。若い頃と違って人生経験もそれなりに積んできたので、詞の中身を理解することも早くなったのかもしれません。
また歳のせいで曲をなかなか覚えられないので、何度も原曲を聴いてしまいます。これはまあ老化現象なので仕方ないでしょう。
ですが、ありったけの思いを込めて全力で唄うことに変わりありません。ロック調の曲はエネルギッシュに、バラード曲は感情を込めて。
まだまだ音楽活動は続けていきたいと思っています。私の歌を聴いた人が、ほんの少しでも「いいね!」と思ってもらえるよう、楽しんで唄い続けます。