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発達支援・特別支援に関する発信

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障がいのある子どもと関わる方向け。 働いてきて抱いた意見や、ここが肝だな!と感じた関わり方のコツ、などなど。
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#ジブン株式会社マガジン

#29 可変と不変を見分ける知恵を

こんにちは。にわのです。 障がいのある子どもたち・重度心身障がいのある方たちの支援をかれこれ17年してきました。 今日は働いてきた中での「座右の銘」 常に自分に言い聞かせてきた言葉について書きます。 ニーバーの祈り 神学者ラインホールド・ニーバー(Niebuhr, Reinhold)による祈りの言葉です。 社会福祉主事の資格講座で中央福祉学院の授業を受けた際、「心の平和の祈り」として先生が紹介されていました。 私自身はキリスト教徒ではありませんが、本当にその通りだな

#33 「マリオカートのあいつ」を目指す

障がいのある子どもと関わる育てる、 発達支援初任者に向けたシリーズ、第3回です。 まず目指すべき基本の態度について、今回までで1セット。 子どもへの【否定・制止・命令】的な言葉かけを最小限に減らすこと の重要性についてもう1回だけ書きます。 まずここを強く自分に刷り込んでおかないと、 ベテランになってから「クセになってしまった」振る舞いを修正するのは非常に難しい。 自分にしっくりくる・腹落ちする説明と出会ってもらうことを目標に、 色々な理論や立場でも同じことが言われ

#32 「絶対あかん」は3つだけ

障がいのある子どもと関わる育てる、 発達支援初任者に向けたシリーズ、第2回です。 前回、まずは子どもの味方を目指すこと。 基本の姿勢は全肯定でスタートしよう、という話をしました。 そりゃ素敵だけど、「何でもアリ」って訳にはいかんでしょう? 無責任に「全肯定」なんて言うもんじゃないよ と思ったあなたに向けた第2回。 もちろん、「断固やめさせる」最低ラインはあります。 が、 一般的に思われているより限定的、具体的には3つだけ という点について今回書きます。 絶対にストッ

#31 全肯定が基本でOK!

発達支援や特別支援などの、障がいのある子と関わる仕事 初任者向けのシリーズを時々書こうと思っています。 今回のテーマは、「子どもの味方になろう」 仕事として関わる大人はつい、 その子を変化成長させることが自分のやるべきことだ と考えがちですが、 私は違うと思います。 子どもと関わることを仕事にする大人が目指すべきことは 自分の味方だとその子が感じられる相手を、世界に1人増やすこと です。 そのために、初任者は特に、 その子の存在全肯定!な大人を目指してみてはど

#34 障がいと子どもを巡る「言葉のチョイス」【noteの#数えてみた】

note公開設定時ハッシュタグをつける際に出てくる、「どのワードなら何件の記事があります」の予測変換的な項目 同じニュアンスでも単語によって件数がかなり違うことも多く、 どうせなら登録数が多いものをつけようか、なんて ついつい見て悩んでしまいます。 また、私がメインで扱うテーマに関する言葉では 「障害/障がい」「子供/子ども」「自閉症の呼び方」 のように、表記の揺れが頻繁に見られるものが多くて。 「自分が書く際にどの言葉を使うか」については既に自分なりのルールがあるもの

#27 「問題」行動対応の検討フロー 【ABA実践】

子どもたちが見せる様々な行動の内、「減らしたい・やめさせたい」ものへの対応方法シリーズを続けています。 放課後デイに来る知的な遅れや発達上の課題がある子たちと接する中では、激しい自傷や他傷、物を壊すといった「問題」行動が何度も繰り返されてしまうことがあります。 普段の話し合いでは解決の糸口が見えない場合、専門的な手段を取り入れてみることがヒントになるかもしれません。 今回は、ABA(応用行動分析)を活用した「問題」行動対応検討の流れについてご紹介します。 行動の強化要

#26 誤学習を避けるための関わり方

「不適切な行動」と「欲しい物が手に入った」という結果が本人の中でリンクしてしまい、不適切な行動が繰り返し見られるようになることを誤学習といいます。 誤学習の結果、過激な行動が要求・表現手段として定着してしまうことは、幼児期の子どもや、知的な遅れ・発達障がいのある子たちにとって珍しくない現象。 支援者は常にそのリスクを頭に入れた対応をとる必要があると私は思います。 誤学習の例 例えば、こんな場面 行動を分析する時には「直前状況」「行動そのもの」「行動の結果」に分けて考

#25 行動を3つの視点で分析する 【ふりかえりのコツ】

放課後デイでの仕事には「ふりかえり」がつきもの。 利用中の子どもたちの様子を思い出して、 「なんであんなことしたんだろう」 「次回の利用時に何か変えた方が良い点はないか」 と作戦会議を行います。 話の進め方が整理されていないと、 「なぜその行動に至ったのか」 →各自の推測を喋るのみ 「どうすれば再発防止できるか」→難しいですね、、気をつけて見守りましょう で終わってしまいがち。 今日は、 行動を分析する時には、時系列に沿った3つの視点に分けて考えることが効果的、 という

#24 「気をそらす」の達人を目指そう

やめて欲しいのに、毎日繰り返される子どもの行動ってありますよね。 最近のうちの子(1歳9ヶ月)だと、「寝ているお兄ちゃんに襲いかかる」です。 毎朝の恒例になっています。泣いて終わるってわからんもんかね。 ダイブしようとひらめいてしまった子どもに対して、恒例行事を終わらせるべく大人ができることには、大きく3つの選択肢があります。 言葉で説得(or注意or叱責)する 抱えて物理的に引きはがす おもちゃ・お菓子で気をそらす 1と2をまず試し、それでもダメなら3の手段、

#23 「鬼さん来るよ」をやめてこそプロ 【子育て職の専門性】

子どもが言うことを聞かない時の大人側秘密兵器「〇〇が来るよ」。 鬼、お化け、妖怪、幽霊 「日々の親子バトル」市場を発見&開拓している会社が参戦してきて、子どもにいうことを聞かせたいあなたにおすすめ!と鬼から電話がかかってくるスマホアプリが流行ったりもしていますよね。 私の意見としては、日々の子育てに疲れ切って消耗してしまうことを回避できるなら、親が使う分にはOK、と思っています。 ただ、「仕事」として子どもと関わる場面については別です。 今日は、いかに「鬼さん来るよ」的

#22 構造化とABAは全子育てに有効です

3月に2冊目の著書を出された発達支援界隈の有名人、平熱先生の名言 Xは見る専門、フォロワー0人の私も言わせてください、発達支援は全人類の子育てに有効です。 放課後デイで働きながら2人の子育てをしてきて、これって障がいのある子に限らず、あらゆる子育てに有効だよね、と感じてきた技法やテクニックがたくさんあります。 その中から、特に「子どもと関わる全大人に知ってほしい!」と思う手法2つについて、基本的な考え方を紹介します。 全大人に知ってほしい手法その1:構造化構造化とは、

#20 人は逆算のみにて育つにあらず

成長について考えるとき、 『目標を決め、計画を立て、スケジュールに落とし、1つずつ実行していく』 という逆算思考がデフォルトになっている所、ありませんか? 障がいのある子たちを取り巻く環境でも同様で、学校と、全福祉サービス事業所から各1枚の「個別支援計画」が渡されます。利用先が多ければ、ひとりの子に対して「支援計画」が全部で5枚も6枚も並行して走っている、ということもざら。 今日はそんな、子どもの育ちを巡る逆算思考の功罪と、それ以外の可能性についての話です。 逆算すると

#18 「言葉以外の手段」で子どもを動かす 【トレーニングのススメ】

保育園の時間が迫っているのに朝ごはんを食べない!着替えない! 食事中にウロウロ、なのに「ごちそうさまでいいのね」と聞くと全力のノー。どっちやねん! 「お風呂が沸いたら終わり」の約束のyoutubeをいつまでも見続ける、、 子育ては「思うようにならぬ相手(子ども)」との付き合い方修行だな、と感じる日々です。 子どもの行動を変えたい時、「声かけ」だけしか手段がないと、効果が出なくてストレスになったり、段々エスカレートして脅迫めいた声かけだらけになりがちです。 などなどなど。

#16 感覚のコップは伸び縮みする

運動会シーズンがひと段落しようとしていますね。 普段見れない姿は大人としては嬉しいことですが、「いつもと違う」を苦手にする自閉症の子は結構多くて。 やっと年度がわりに適応してきた頃に始まる「運動会の練習」というイレギュラーな予定&集団行動連発の状況に調子を崩してしまう子もちらほら。。 今回はそんな「その日の調子」に関する話です。 感じ方の違い / 感覚特性とは 障がいのある子たちが見せる特性を説明する言葉の1つに「感覚過敏 / 鈍麻」があります。 柔軟剤の匂いやテレビ