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発達支援・特別支援に関する発信

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障がいのある子どもと関わる方向け。 働いてきて抱いた意見や、ここが肝だな!と感じた関わり方のコツ、などなど。
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#発達支援

#29 可変と不変を見分ける知恵を

こんにちは。にわのです。 障がいのある子どもたち・重度心身障がいのある方たちの支援をかれこれ17年してきました。 今日は働いてきた中での「座右の銘」 常に自分に言い聞かせてきた言葉について書きます。 ニーバーの祈り 神学者ラインホールド・ニーバー(Niebuhr, Reinhold)による祈りの言葉です。 社会福祉主事の資格講座で中央福祉学院の授業を受けた際、「心の平和の祈り」として先生が紹介されていました。 私自身はキリスト教徒ではありませんが、本当にその通りだな

#33 「マリオカートのあいつ」を目指す

障がいのある子どもと関わる育てる、 発達支援初任者に向けたシリーズ、第3回です。 まず目指すべき基本の態度について、今回までで1セット。 子どもへの【否定・制止・命令】的な言葉かけを最小限に減らすこと の重要性についてもう1回だけ書きます。 まずここを強く自分に刷り込んでおかないと、 ベテランになってから「クセになってしまった」振る舞いを修正するのは非常に難しい。 自分にしっくりくる・腹落ちする説明と出会ってもらうことを目標に、 色々な理論や立場でも同じことが言われ

注目獲得行動への対応【実例編】 #13

こんにちは。にわのです。 知的障がいや発達障がいのある子どもたちへの支援について情報発信するシリーズを続けています。 前回に続き、「注目獲得」または「注意喚起」と呼ばれる行動への対応について。今回は具体例を2つ取り上げてみます。 周囲の反応目当てに行動しているようだ、と感じた場合、「無反応」と「違う行動への置き換え」をセットにすることが対応の基本です。 「子どもを無視していいの?」という質問をよく受けますが、存在を無視するのではなく、特定の行動についてのみ反応しない、と

氷山モデルの具体例【注目獲得行動】 #12

こんにちは。にわのです。 知的障がいや発達障がいのある方への支援について情報発信するシリーズ、今回は「注目獲得」または「注意喚起」と呼ばれる行動についてです。 氷山の一角として、こんな行動 いずれも周りの人がとる「反応」が行動の目的となっていると考えられます。 注目獲得行動への対応 こうした行動を減らしたい場合、「無反応」と「違う行動への置き換え」が基本の対応になります。 「それはダメだよ」とも「それはやめて」とも言いません。笑顔も怒った顔もしません。淡々と行動をスト

氷山モデルの具体例 【見通し不安】 #11

こんにちは。にわのです。 障がいのある子どもたちの支援について発信するシリーズ、今回は「見通し不安」から出てくる行動と対応について、です、 氷山の一角として、こんな行動 こうした行動が見られた場合「見通しが持てていない」ことからくる不安や混乱が背景として考えられます。 「見通しのつかない状況」は発達の遅れがあったり、自閉症を伴う人たちの最も苦手なことの1つと言われています。 先のことが予測できない「くらいのことで」叩いたりあんなに暴れるなんて、と思われてしまうことがあり

氷山モデルの具体例 [聴覚過敏] #10

こんにちは。にわのです。 知的障がいや発達障がいのある子どもたちへの支援について情報発信しています。 前回、子どもたちが見せる様々な行動は「氷山の一角」にすぎず、行動の背景にある問題に目を向けることが大切、という氷山モデルをご紹介しました。 今回は氷山モデルの具体例として、「感覚の違い」を背景として表れる行動について取り上げてみます。 氷山の一角として、こんな行動 ・人が多い空間で耳をふさぐ、突然走り出す ・泣いている人がいると叩こうとしてしまう ・手作りのご飯は口にせ

【言葉の解説】 氷山モデル #9

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービス、という、障がいがある子たちの居場所作りを仕事にしてきました。 今回は子どもたちが見せる行動理解の基本「氷山モデル」について解説します。 注意してもしかっても、止めてくれない、、 人を叩く、物を壊す、トイレに物を流す、手洗い後に水道でばしゃばしゃ遊ぶ、屋外で座り込んだり走り出したり、、 少なくない放課後デイご家族から、こうした「問題行動」についての相談が寄せられます。 一般に、子どもが「悪いこと」をしたら、大人は「怒る・叱る

【言葉の解説】発達支援と定型発達 #8

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービス、という、障がいがある子たちの居場所づくりの仕事をしてきました。 今回は障がい児支援界隈でよく使われる言葉2つについてご紹介します。 発達支援 「なんの仕事してるの?」と誰かに聞かれた時、例えば介護職の方なら「介護の仕事」と答えていると思います。「障がい分野の」「入所施設の」といった言葉を足すこともあるかもしれません。 放課後デイの場合、「介護」的関わりをする場面もありますが、身体的なケアは必要としない子も多く、「介護職」

視覚ツールを取り上げないで #6

こんにちは。にわのです。 放課後等デイサービスという、障がいがある子たちの居場所づくりを仕事にしてきました。 子どもと関わる中で、「通じた」体験が最も重要ではないか(そうに違いない!)と考え、「子ども本人」「関わる大人」「支援者とご家族」「自閉症スペクトラム児」と視点を変えながら「通じた」瞬間は誰と誰の関わりにとっても大切な価値があるよね、と書いてきました。 今回は、発語が少し見られるようになったからといって、大人判断で視覚ツール使用をやめないで!なぜなら通じた体験を阻害

#5 腹落ちした自閉症スペクトラムの捉え方

こんにちは。にわのです。 放課後デイサービス という、障がいがある子どもたちの居場所づくりに7年間携わってきました。 子どもと関わるにあたって「通じた」瞬間が最も大切ではないか(そうに違いない!)と発信したいシリーズ 今回は出会ってきた中で最も多かった、 自閉症スペクトラムの子たちにとっての「通じる」ことの価値 について取り上げ、 自閉症を理解するにあたってオススメの本2冊を紹介します。  自閉症スペクトラムの捉え方 私が出会ってきた子たちの障がい種別を体感でざっくり