読書紹介 そういえば読んだことない 編Part7 『海底二万里』
どうも、こぞるです。
本日ご紹介する本は、ジュールヴェルヌ作『海底二万里』です。
「あれ?2万マイルじゃなくて?」と思われる方も多いかもしれませんが、そもそもはリューと呼ばれる、昔用いられていた単位(1リュー)が原題だそうで、今では様々な訳があてがわれています。マイルが聞き馴染みがある方は、ディズニーの映画やアトラクションのイメージが強いのかもしれません。
ー作品内容ー
ときは1866年、大西洋に謎の巨大生物が現れた! 異形の〈怪物〉の目撃譚に人々はおののき噂した。白鯨か? 伝説の怪異か? はたまた超自然現象か? 議論が沸騰するなか、アロナクス教授はその正体を暴くため、使用人のコンセイユとともに高速フリゲート艦に乗り込む。それが、驚くべき旅の始まりになるとも知らずに──。
少年から大人までをも魅了する海洋冒険ロマンの傑作。
起ワクワク転結
この物語は上記の通り、謎の巨大生物が!ってところからスタートするわけなのですが、もう謎の巨大生物ってだけでワクワクするのに、それ以降もずっとワクワクが物語の進行を支えています。
多くの物語というのが、事件や困難によって物語が進められていくのに対して、このストーリー展開というのは、誰しもが心の中に持っている5歳児を目覚めさせるのに十分すぎるほどの魅力を持っています。
上下巻合わせて1000ページ超のほとんどがワクワクなのですから、起ワクワク転結というか、もはやワクワクワクワクワクワクワクワクです。
どうでもいいですが、自分が書いたワとクの見分けがたまにできません。
距離のベクトル
完全なる私の勘違いなのですが、ずっっっっと、深さ二万里だと思い込んでいました。実際は潜水艦で旅をした距離が二万里だったんですね。
冷静に考えると、というか計算すると、一里=約4kmなので、二万里=8万km。地球の直径が1万2700km。そりゃ無理だ。
ただ、作中登場人物のネモ船長率いる彼らの潜水艦ノーチラス号は深さも相当で、描写されている限りで海底1万6000m(kmじゃないよ)まで潜っていることがわかります。2020年現在、有人で潜った一番の深さが1万900mほどなので、というか、それより深い海が見つかっていないので、世界一の称号はネモ船長が保有したままですね。
またまた余談ですが、一番最近かつ、単独で1万900mまで行った方は、かの有名な映画監督ジェームズ・キャメロンだそうです。タイタニックより沈んでますね。
驚異の注釈数919!!
この作品の特徴の一つ言えば、まあ何よりもその注釈の数です。新潮文庫の上巻で381下巻で538、計919に上ります。恐ろしいですね、
作品のページ数がだいたい1000ページ。その中にはもちろん後書きや注釈や目次のページ、挿絵のページなどが含まれるので、ページ数と注釈数が1対1ぐらいになりますかね。
今回私はkindle版を購入して読んだのですが、大変でした。kindleって(注1)みたいな文字が全部ボタンになっていて、タップするとそれに関する注釈が読めるんです。すると、まあ読んじゃう読んじゃう。物語が進まない進まない。
この変な名前の魚ってなんだろう?その科学者ってどんな人?それらがすべて数行の文で説明されています。たのしい!
今の時代の、写真や映像が世界中から手に入る環境で育った私ですらそうなのですから、当時1870年(日本はまだ明治開始直後)の読者たちの頭の中で創られた海底世界というのは、それこそ無限に存在したことでしょう。
さいごに
今作に出てくるネモ船長ですが、基本的には謎の人物です。どのようなバックボーンがあるのか、すべて謎のままです。続編のような作品では、その設定が書かれているそうですが、その設定というのは、元々の設定とは違っていたそうで、ロシア人を悪役に描かなければならないことに対して、出版社がストップをかけたという事情があったそうです。
作者の意向が、経営などのために遮られること自体にはマイナスな感情がありますが、その結果、何も明かされなかったことが却ってネモ船長の魅力となったのかなという気もします。
それでは、このへんで。