漫才File#10 野良猫
A:ランニングが趣味で毎朝近所の海岸走ってるんだけどさ
B:いい趣味だな
A:そしたら昨日野良猫がいてね 俺猫好きだからあやしてたのよ
B:ほう
A:そしたら遠くの方で野犬が2匹ケンカしてるのが見えたのね
B:怖いな
A:そうそう だから猫が巻き込まれないようにちょっと離れたところまで運ぼうと思ったのね
B:優しいなお前
A:そしたら運ぶ途中なんか踏んだなとおもって 靴の裏見たら「野良蟹」がつぶれて死んじゃってたのよ
B:「野良蟹ぃ」 あんま聞いたことない表現だな
A:ほんと小さな野良蟹だったんだけどさ すごい申し訳なくなって
B:まあ命に大小はないからな
A:その場で「野良経」をあげて
B:「野良経ぉ」
A:遺体を天然の砂浜に埋めたんですよ
B:いやちょっと待って「野良経」って何!?「野良蟹」は百歩譲っていいとして、お経に野良も飼育もないだろ!
A:飼育されたお経は、代々僧侶界で受け継がれていたものだろ
B:いや知らないけど
A:野生のお経ってのはその辺に見えるものをひたすら口ずさむだけのやつだから
B:意味あんのそれ!?自己満足もいいところだよ
A:木魚もその辺の貝殻と棒きれで済ませられるし
B:済ませられるって言ってんじゃん 本人も飽きてるなら、もうそのお経に効果はないよ
A:そうかなぁ・・・
B:あとお前が天然と思ってる砂浜、あれ人工の可能性あるからな 外から持ってきた砂を敷き詰めて造ってるところもあるから
A:それはわかってる そこは咀嚼したうえで、自分なりに解釈してるから
B:なんだそれ!いいように聞こえるけど、定義無茶苦茶じゃん!
A:そんで野良経唱えてたら、沖合から野良漁船に乗った
B:「野良漁船」
A:野生の漁師が現れてさ
B:「野生の漁師ぃ」 どこにも所属してない漁師ってこと?
A:いやちゃんと漁協の帽子被ってた
B:じゃあ野生でも野良でもないよ
A:でもその人裸足で、すっごい髭生やして、短いタバコ咥えてたけどなぁ
B:それは「野性的」であって「野生」ではないから!そもそも「野生」という概念は人間が生み出したものだからさ、野生のホモサピエンスなんて、だれ一人として存在しないから!
A:やっぱそうか その人ファクトリーメイキングの缶コーヒー飲んでたんだよね
B:急な横文字気色悪ぅぅうううううう!!!!!!