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死についてのハドル2nd Season7つの大罪編➁「嫉妬と死」
BGMにどうぞ。
前回↓
ハドルとは↓
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ゲストは前シリーズでも登壇してくれた、もろこしさん
もろこしさんは一次創作漫画を描いていて、クリエイター界隈に対する「嫉妬」が現在進行形で流動しているからとハドルを楽しみにしてくれていた。
いつか僕らの上をスレスレに通りすぎていったあの飛行機を不思議なくらいに憶えてる
今のあなたの嫉妬は誰に?
もろこしさん曰く「ちゃんとした装丁で同人誌を出している人」は「自分の作品に価値があると自負している」のだろうから「その自信に嫉妬する」とのこと。
ふむ?それってあなたの感想ですよねと僕は思った。コミケやコミティアのブースに座っている人たち、全員が自身を持って座っているとは僕には思えないので。
まあしかしそれは置いといてだ。
人は鏡である。鏡をみて「ちゃんとした装丁するなんて、価値があると自負してるんだなぁ」と嫉妬してしまうことからは、「価値がない」という言葉・概念の化け物が心の奥に鎮座して呼吸している姿を想起させられた。
さいきんの もろこしさん
「自分の作品に価値がないなんて、そんな悲しいこと言わないでよ」と言われたことが何回かあるが、私にとって一番の呪いは恐らく「作品に価値がないことが悲しいことである」という言外の圧なんだろうな。
— もろこし@3/9ギアファンカフェ準備バー (@morocoshi_1) March 1, 2024
価値の呪い、うん、そうなんだろうね。
昨日、友達と話してて腑に落ちたことは、今のギアファンは「作品」ではなく「もろこしの見ているエミルたち、という前提を共有する手段」に過ぎないということ。
— もろこし@3/9ギアファンカフェ準備バー (@morocoshi_1) March 1, 2024
作品ではないんだね。価値なんてないんだもんね。
外面を取り繕えば取り繕うほど「中身の無さ」が際立つ気がしており、その意味でもギアファンをノートとボールペンで描くのは正解だったなあ、と。
— もろこし@3/9ギアファンカフェ準備バー (@morocoshi_1) February 29, 2024
なのでこれでいいのだ。筆を、物語を、進めることに「価値がある」もんね。ふふふ。
クリエイターはたくさんいるけど「謎の理由でギアファンやる人」は世界にただ1人なので、俺がルールだ。
— もろこし@3/9ギアファンカフェ準備バー (@morocoshi_1) February 28, 2024
そうだね。
価値の呪いを解く呪文を、次々に産み出し、唱えている。「価値がない」は中々に手強い相手のようだ。ふむ。
流れ星か 路傍の石か
路傍の石には価値がないだろうか。もしもそれを手に取る少女がいたらどうだろうか。そんなことを考えた。「人生の意味」なんてものについて考えることと似てるなと思った。
嫉妬しないパターン
同人誌ではなく、メジャーな商業誌には嫉妬しないの?と尋ねたら「次元がちがうので〜」ともろこしさん。
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もろこしさんが他に嫉妬しないパターンの例として「自分の絵にちゃんと絶望し、苦悩を抱え続けながら、それでもやる人。そのプロセスが見える人」を挙げた。
なるほど「お手本」には嫉妬しないのかもね。
他には10代の頃。美大に進むべく「苦行の如く」(に見えた)絵の練習をする同級生に、次元がちがうと諦めながらもあるいはどこかで嫉妬していたかも知れないが、いま社会人になって美大予備校で学んでる友だちを見ても嫉妬しないという。
僕「その違いはどこにあるんだろうね?」
もろこし「死ぬまでにあれやりたい(そしてきっとやる)と思えることには嫉妬しない」
なるほど、これも「お手本」だ。
嫉妬、するとしないの あいだ
もろこしさんは、美大を目指したアの子から「逃げました」と語った。
逃げるのはわるいことじゃない。ある時は生きるために必要な行動だ。「逃げる力はつよいです」と、もろこしさんが笑う。
次元の違う人からは逃げることが出来るので嫉妬しないで済む。嫉妬は、手が届きそうな近くの人にするものかも知れない。
もろこしさんの場合は「ちゃんとした装丁で同人誌を出す人」が「ガワ(体裁)だけ整えてる」ように見えて気持ち悪いのだと言う。
それもまた鏡であって、自分の価値(ガワに対する中身)がないことへの恐れなのだろう。「自分がちゃんとやれてないから余計なものが見えちゃうんだと思うんです」
嫉妬しない準備ができた時
「あれいいな」は嫉妬になる。「あれいいな、やろう」と思えるようになれば嫉妬が消える。それは、嫉妬しない準備ができたってことなんだろう。
僕「嫉妬しない準備に足りないものは?」
もろこし「絶望、あきらめ」「ワンチャン(価値)を期待してしまう」
ふむ、なるほど。
そろそろ、死の話をしよう
殺したいくらい、あるいは死にたいくらいに嫉妬したことは?
これに対してもろこしさんは「死にたいくらいなら逃げる」「逃げて生き延びる」
この辺りまで話して、あれ?もしかして嫉妬って、生きるために必要なものでは?と僕は思った。
「ちょうどいい嫉妬」
もろこしさんが言う。なるほど「お手本」はちょうどいい嫉妬だ。ちょうどいい嫉妬は生きる力になるのかも。
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もろこしさん「嫉妬とは渇望である」「嫉妬を手中に収めるため強くならなければ」
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「攻撃に向けると自分もダメージを負う」「次の道を作るため、繋げるために使う」
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「1人で思考をぐるぐる捏ねくり回してるとき」「でも、それも必要」「それがあるから、生き返ったとき前に進める確率が高い」
生と死、輪廻だ。ステキ。
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「アイデアだけ、は甘い吐瀉物である」「一歩先の形にするのが生、出来なければ死」
もろこし「私は(漫画の中の)彼らが、どう生きて何を思いどうリアクションするかをちゃんと描いていきたい」
僕「それって、もろこしさんの投影でもあるよね?」
もろこし「その面はどうしてもあるけど、そう思われてしまうのは私の至らなさ」
僕「へぇ、そうなんだ?」
もろこし「彼らには、ちゃんと1人の人間であって欲しい」
僕「我が子だ!!」「すごいな〜そこに命を賭けてるんだな〜」
もろこし「そうです!」
僕「恒例のさいごの問い。死ぬ前に言い残したことは?」
もろこし「ウチの子は、世界一かわいい!!!」
はは、それじゃあ嫉妬のしようがないね。
おしまい。
僕たちはきっといつか遠く離れた太陽にすら手が届いて夜明け前を手に入れて笑おう
次回予告。
前回、罪と善は別々ではなく、陰陽のように対を成す一つのものかも知れないと感じた。
今回も「ちょうどいい嫉妬」という言葉が飛びだしたように、罪はかならずしも悪ではないと思えた。
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分かりきったことをやってるだけなのかも知れないが、面白いのでヨシ。
残り5大罪。傲慢、強欲、憤怒、暴食、怠惰。
次は4月頭を予定しているが、誰にどの大罪を語ってもらうかは未定。
なんか悪魔超人の正体が1人ずつ明かされていく感があって良いw
コチラでご参加お待ちしてます。