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景色が変わった。

BGMにどうぞ。

酒を飲んで オナニーをして
1日が今日も 終わっちまった
「人生に期待するな」
頭の中で回ってら

あの人/オナニーマシーン


この記事はテーマ「私の発見」アドベントカレンダーの17日目の記事です。25日までの記事は以下で順次公開されます。


テーマ「新しく出来るようになったこと」カレンダーも合わせて是非覗いてください。




2年前に歌をつくった。

ここからみえる 景色は最高さ
いつかおいでよ 君にもみてほしい

景色/にわかーず

サビの部分は歌詞もメロディーも20年ほど前に出来ていた。当時、バンドをやっていた僕のライブを観に来てくれた、とある友だちに向けて歌いたいと思っていた。

やがてバンドは解散し、曲が完成することはなかった。その友だちとも疎遠になった。

20年ものあいだ、僕はただなんとなく生きていた。毎日変わらない景色。家と職場とパチンコ屋。

そんな景色を隣にいて見てくれる人がいた時期もあり、それはそれで幸福な日々だったがその生活も終わった。

オナニーとお酒とタバコがあって
月々の家賃が払えれば
それはそれで幸福な日々
多くをのぞまなければ

あの人/オナニーマシーン

孤独部屋おじさん、角を曲がる。

また一人暮らしが始まるにあたって、僕は猫を飼おうとしていた。人間には期待してしまう、猫がイイと。しかし孤独おじでは里親審査も通らないと知った。世知辛いものだ。

仕事もせずに僕はずっと自問自答していた。してしまうこと、するべきこと、したいこと。人生を振り返り、毎日、泣きながら。その作業は1年以上かかった。

するとある日、20年前の僕が見えた。僕はライブ会場の隅に座って、被ったフードの奥からステージを眺めていた。

僕は僕に向かって言った。「そうか、それがやりたかったんだな」それを聞いた僕は頷きもせず黙っていた。僕はさらに言った。「そうか、やっていこうな。少しずつな」

まず、あの歌を完成させよう。それが2年前。あのコが居なくなった場所に歌が来た。しばらくお金を貯めた僕はギターを買った。

いつのまにか、猫は諦めていた。諦めたら猫はやって来た。不思議な縁だ。今は3匹の猫と2本のギターと暮らしている。

すべてを捨てたときに
はじめて見えてくる
チッポケな自分と明日が

人生に期待するな
人生に期待するな

人生に期待するな
昔、あの人が言ってた

あの人/オナニーマシーン

窓を開けよう。

言うてギターは初心者。河原で歌う40代後半のおじさんはすぐに独学の限界を感じ、ギター教室の門を叩いた。それが1年前。

「とりあえずどのくらいやれるのか、見せてください」

ただでさえヘタクソなのに、演奏場所としての教室は僕にとって今でも世界一緊張する箱だ。

弾き語ったブルーハーツの青空はガッタガタ。C#mは鳴らないし、ストロークも(今でも)安定しない。声もうわずっている。それを聴いた先生は言った。

「イイじゃないですか。フツーにやれてる。声がすごく良いですね。どんどんオープンマイクとか行って人前で歌ったほうが良いです!みんな喜びますよ!」

「家で一人でやってる人とかって、意外と多いんですよね。もったいなさすぎる!」

今ではその言葉の意味もわかる。当時はオープンマイクというものの存在すら知らなかった。

さいしょに教室に行くのは吐きそうなほど緊張した。教えてもらった店に行くのもそう。僕は初めての店がとても苦手なタイプだ。

始めは月に2回。2つの店に通っていた。それから毎月行ってるうちにどんどん繋がりがうまれ、世界はみるみる広がっていった。

気がついたらこの1年で計6店舗、毎週どこかしら通えるようになっていた。

思えば、教室の扉が開いたときに、世界の窓は開いたのだ。

景色が変わる。

どこの店でも初心者を暖かく迎えてくれた。毎月おなじイベントに通っていたら、企画ライブに誘ってくれる人まで現れた。

2年前では考えられない奇跡。12月14日に行われた、そのライブの景色がコチラ。

どんどん、景色が変わっていく。
もっと、いろんな景色がみたい。
20年後の僕が歌っている。

ここからみえる 景色は最高さ
いつかおいでよ 君にもみてほしい

景色/にわかーず

SpecialThanks
きっかけをくれたあの日のカラオケ道頓堀ギター教室、オープンマイク、イノマー、甲本ヒロト、バンドメンバー、あきら、そこにいた君、全ての出会いに。

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