ぼくのクライミンググレード遍歴・グレードピラミッド【フリークライミング】
こんにちは!にわかアルピニストです.今日はグレードの話をしていきます.
筆者はクライミング歴4年ほどになりますが,これまでに300本弱のルートを完登してきました.現時点での最高グレードはスポートルートで5.12b,トラッドルートで5.13aとなります.2024シーズンのフリークライミングをそろそろ締めようと思っていますので,一つの節目として一度自身のグレードの変遷を振り返ってみます.自分がどのように成長してきたかの振り返りにもなりそうな気がします.
クライミンググレード遍歴
早速,筆者のクライミング遍歴を振り返っていきますが後半にわかりやすいように年表形式でまとめています.
筆者はクライミングと出会う前にまずは登山と出会いました.その中でバリエーションルートに興味を持ちアルパインクライミングを経てフリークライミングを行うようになりました.初めてフリークライミングでリードをしたのが2021年10月で瑞浪屏風岩にある「新人クラック」というルートです.
瑞浪や豊田の岩場で経験を積んで2022年5月に瑞牆デビュー.2022年はスポートルートに打ち込み瑞牆や小川山に通うことになり,その甲斐もあってその年の秋には5.12を登ることができました.初めての5.12はカサメリ沢にある「医者の娘」というルートでした.リーチがあると有利な課題でパツパツになって登ったのを覚えています.2023年の1月には城ヶ崎海岸にある「マリオネット」をPPしてトラッドでも5.12を登ることができました.
2023年の春は更なるグレード更新を求めて5.13の可能性を模索しましたがその夢はかなわず,同年の秋にはトラッドを中心に瑞牆小川山で登っていました.2024年は秋にヨセミテでビッグウォールクライミングを行う予定であったためそのトレーニングに費やしましたが合間に小川山や瑞牆で登り,10月に念願の5.13を登ることができました.三重県の香落渓の岩場にある「The Progression」というルートが初めての5.13でした.
グレードピラミッド
グレードの変遷を年表形跡で振り返りましたが,5.12までは比較的スムーズにいったものの5.13を登るまではそこから2年かかっています.クライミングをしてると少なからず自身のグレードを更新するタイミングがあります.限界グレード以上の課題を登るのはひとつの目標となるでしょう.
自身のグレードを上げるための考え方としてグレードピラミッドというものがあります.一つのグレードを登るためにはその一つ下のグレードを数本登る必要があるといった考え方です.菊池敏之氏の言葉を借りると
ということになります.確かにこれは一理ありますが,実際の所はどうなんでしょう?そこで自分の登攀記録を見直して,スポートルート,トラッドルートそれぞれで完登グレードを更新した時点でのグレードピラミッドを作成してみました.
スポートルート
スポートルートで初めて登った課題は5.9でしたが,それ以降6回のグレード更新をしています(5.10b→5.10d→5.11a→5.11c→5.12a→5.12b).全体的にけっこういびつな形のピラミッドですね.5.11c,5.12aを登ったときはその下ののグレードを飛ばしていました.
①5.10b 瑞浪「原住民」
筆者にとってもそうでしたがクライミング初心者の最初の壁は5.10台になると思います.最初は近場の瑞浪や豊田といったエリアでクライミングを始めましたが5.10aに手ごろなものがなかったため5.10bを先に登ることになりました.5.9以下は複数本登っているので一応ピラミッドになっています.
②5.10d 瑞牆「レーザーズエッジ」
このころはクラックが多めの時期でした.その見栄えの美しさからこのルートを選択しました.ピラミッドにはなっていませんがクラックの経験やジムでのトレーニングもありそれほど苦労せずに登れました.
③5.11a 鳳来「ユカ」
5.10台をいくつか登ると次のステップとして5.11台を狙うことになります.そんな中選ばれたこのルートはルート自体を気に入ったというよりは5.11台を登りたいがために選ばれました.厚みはないものの一応ピラミッドにはなっており,またジム通いもしていたためそれほど苦労せずに登ることができました.
④5.11c 瑞牆「プラチナム」
これまではジム通いもあり比較的すんなり登れていましたが,このグレードは苦労しました.そもそも5.11bをすっ飛ばしており5.11aも1本しか登っていなくピラミッドの「ピ」の字もありません.オーバーグレード感はありましたがそのラインを気に入ったためトライを開始しました.それなりの便数,日数をかけての完登になりました.
⑤5.12a 瑞牆「医者の娘」
5.11cを登ったあとは5.12が見えてきたのでそこを目指そうと思いましたが,幸い当時通っていた瑞牆には素晴らしい5.11台の課題がたくさんあったのでそちらを先に触りました.そのおかげでいびつながらも厚みのあるピラミッドとなり医者の娘は信じられないくらいすんなりと登れました.
⑥5.12b 小川山「シナプス」
シナプスは特殊なルートで1発ランジのほとんどボルダリングなルートです.ジムトレが生き1dayで登ることができましたが実力に伴わない成果となってしまいこの2本目の5.12bを登るまではだいぶ時間がかかりました.
トラッド(クラック)ルート
トラッドルートで初めて登った課題も5.9でした.そこから7回のグレード更新をしています(5.10b→5.10c→5.10d→5.11b→5.12a→5.12b→5.13a).スポートと比べると登っている本数が多いこともありややピラミッド状にも見えます.
①5.10b 瑞浪「エースをねらえ」
5.10台1本目は瑞浪の看板課題の1つでした.こちらもスポート同様手ごろな5.10aの課題があまりなかったので5.10bが最初の1本となりました.基本的なハンドジャムのほかに短いながらフィンガーやワイドも出てくる課題で気合で登った1本でした.
②5.10c 瑞浪「ゆうこ&やよい」
次の1本も同じく瑞浪でした.タイトハンドの課題ですが①を登った後に瑞浪のクラックで基本のハンドジャムの経験は順当に積んでいたのでなんとかなりました.
③5.10d 名張「surf rider」
瑞浪の課題をある程度くらいから名張にもちょことこ行くようになりました.フィンガーやワイドの足テクなどを駆使するルートでそれまでに経験のない技術をこのルートで学びました.
④5.11b 瑞牆「不動の日々」
5.10台ではそれなりにきれいなピラミッドを形成していましたがこの課題は5.11aを飛ばして登ることになりました.「不動の日々」はかなり特殊な課題でリーチや拳の大きさが大きく影響されるルートでした.友人のお付き合いで触りましたが,自分にとって非常に有利な課題であったので段階をすっ飛ばして登ることができました.
⑤5.12a 城ヶ崎「マリオネット」
クライミングを始めたころからのひとつの憧れが城ヶ崎海岸のアストロドームでした.マリオネットはそのエリアの登竜門で強傾斜のガバをつないでいく課題です.かなりのオーバーグレード感はありましたが技術的な難しさよりも身体的な負荷が強いルートでありなんとか根性で登り切りました.
このルートをきっかけに強傾斜&ジャミング難易度低いのルートも積極的に触るようになり同系統のルートは何本か登ることができました.
⑥5.12b 瑞牆「オーバーザレインボー」
⑤を登ってから5.12bを触るまでには少し間が空きました.その間に5.11台や5.12aの課題を何本か登り経験を積んだうえでそのシーズンのまとめとして挑戦しました.グレード通りの厳しさはありましたがムーブやジャミングなどは持っている引き出しで対応することができあまり日数をかけずに登ることができました.
⑦5.13a 名張「The Progression」
5.12bから2グレード飛ばして登ったのが「The Progression」です.この課題は打ち込んで登りました.トップロープでのムーブ構築やプロテクション確認,疑似リードなどのリハーサルも積極的にやることになりました.この課題に特化して準備したので5.13aというグレードを登ったというよりはこの課題を登ったという印象です.
自身のピラミッドを考察する
スポートルート結果まとめ
トラッドと比べると本数が少ない.
1つあるいは2つ下のグレードを複数本登っているとすんなりと登れることもある(5.12a).
自分の特性にあったルートではグレードを飛ばして登れることもある(5.12b).
グレードを更新した後に同等グレードを急に登れるようになることもある(5.11c,5.12a).
スポートルート考察
トラッドと比べると登っている本数が少ない状況でグレード更新できています.これは週1-2回程度の頻度でジムでは登っていたためその影響があるでしょう.ジムで基本的なムーブやホールドの保持を習得していれば,あとは岩慣れすることで登れるようになるのではないかと考えられます.
また自分の特性に合ったルートでは1つか2つくらいであればグレードを飛ばして登ることもできますが,あくまでも一時的なものと考えられそのあと同じグレードを登るまでは時間がかかる可能性がありそうです.逆に1つか2つ下のグレードを複数本登っている場合には比較的すんなり登れたり,グレード更新した後に同等のグレードを急に登れたりするようになるかもしれません.
トラッドルート結果まとめ
スポートと比較して登っている本数が多い.
一応ピラミッドっぽい(5.10c,5.10d,5.12b).
5.12aから5.12bの壁は厚い.
トラッドルート考察
筆者が単にトラッド寄りなのかもしれませんが,スポートルートよりグレード更新に本数がかかっています.この要因として考えうることとして①ムーブのほかにジャミングの技術習得が必要,②カムセットというハードルがあるので限界グレードの課題にトライしにくいなどがあると思います.この2つはスポートにないトラッドルートの特性にもなります.
①ジャミング技術の習得…もちろんスポートルートでもホールディングの技術はありますが,ジムで練習できる部分やグレードが上がっても共通する部分があります.ですがジャミングはハンド,フィスト,シンハンド,フィンガ,,,など様々なバリエーションがありこれらを習得するためにそのジャミングを使うルートを登る必要があります.
②カムセット…スポートルートではボルトが打ってありこのボルトは比較的安全な位置にあることが多いです.一方でクラックの場合は,プロテクションを自分で設置する必要がありクライミングのほかに+αでやることがでてきます.また通常はグレードが上がるほどカムセットはシビアになるためこれが精神的なハードルになっている可能性があります.
また5.12aを登ったときにはグレードを飛ばして登っているのに対して5.12bを登るのには大分ピラミッドが厚くなっていますこれはこの間の壁を意味するかもしれません.またトラッドではルートの本数自体が5.12bになると少なくなるような印象もあり関係しているかもしれません.この傾向は5.12台後半,あるいは5.13台とグレードが上がれば上がるほど顕著になると思われます.
まとめ
クライミングのグレード遍歴を振り返ったりグレードピラミッドを作ってみたりしましたがN数が少なくて特段何か言えることはなさそうです...(笑) でも自分のクライミング振り返るきっかけになったのでよしとします.
5.11を何本とか5.12を何本とかいう風に見ることはあっても,グレード更新時にどのくらい登っていたかを振り返ったことはなかったのでグラフを作っていて楽しかったです.よければ皆さんもやってみてください.
自分の場合はけっこうグレード飛ばして登っているんだなあと.ただグレード更新のときはとても気持ちがいいので,グレード飛ばして更新していると少し損した気分になるかも...あとスポート全然登ってないな...
以上,自身のクライミングについて少し振り返ってみました.今後もいろんな山や岩場に出現すると思いますのでお会いした際はどうぞよろしくお願いします.もし興味が湧いたらぜひブログの方にも遊びに来てみてください!!最後までお読みいただきありがとうございました.