どろどろ夏うた
夏、再生
夏ソングプレイリスト2023を作った。
大枠が完成したのは6月末だったけどまだ暑い。
それからちょこちょこ2023年ニューリリースの夏ソングを入れ、約5時間のプレイリストになった。
邦楽のみで、バンド中心に有名どころの夏ボカロ少々、定番アイドルソングもひとふり。
ソフトクリーム食べながら、海までのドライブに。
あたり付アイスを思い出しながら、帰省の長時間移動に。
異種の声や音が脈絡もなく飛んでくるのは苦手な方もいるかもしれない。
けれど、夏は聴かせてくれるはずだ。
はじめは「きらきら夏うた」にしようとしたけれど、爽やかさだけではないのが近年の夏だから、灼熱もべたつきもどしゃ降りもぜんぶ入れたかった。
このプレイリストの中から7曲を取り上げる。
Base Ball Bear / ドラマチック
夏ソングプレイリストを作るとき、1番初めに入れたのがこの曲だ。
サビの'夏ってる'という高校生言葉のような名詞の使い方が、また青いあの頃みたいに、この夏にかけようとギアを上げてくれる。
ベボベは他に『真夏の条件』『ELECTRIC SUMMER』など、いつでも青で燃やしてくれる夏うたの名手だ。
ベボベの小出さんは一瞬のきらめきをオシャレに調理してくれる。
江本祐介 / ライトブルー
ほかの埋め込みはSpotifyリンクだけれどこの曲はMVを見てほしい。
監督の松本壮史さんと脚本の三浦直之さんを追っていた時にこの曲のMVと出逢った。後に『サマーフィルムに乗って』を撮るおふたり。
私は現役高校生の時にこの曲を知ったのだけれど、当時の私はポカリスエットのCMに青春をおしなべられると感じとても苦手だった。
水と青と合唱っぽい歌とダンス……
ライトブルーのMVもそうかもしれないけれど、どこかいやらしさがなく、青さが得意ではない私でもその青の中に混ざれ、高校生というアオハルにいることを肯定できた曲だ。
四半世紀少年 / 駄菓子屋と野球帽
1分30秒で「夏だ!外に出よう!」とさせてくれるこの疾走感。駄菓子屋、野球帽、ベレー帽、自販機、ケンケンパ……歌詞に出てくる名詞がいちいち'少年'だ。
私の中で、バンド名「四半世紀少年」がヒットしている。四半世紀少年は、男女混成デュエットの曲もあり、それでいて'少年'でいてくれる。あの頃に連れ出してくれるバンドだ。
Transit My Youth / Boy meets Punk Girl
これはきっと夏うたと言い切ってはいけない。音が外に盛れないで身体中にこもらせるライブハウスやクラブの中でいちばん輝いて見えた女の子が切り取られたバンドの歌。
夏うたプレイリストに入れてもいいのか逡巡したけれど、ライブハウスに行って音楽を取り込んだあの暑さは夏だ。だから夏うたにリストイン。
銀杏BOYS / 少年少女
この曲を聴いたとき、どうしようもなく「この歌は私のための歌だ」と思って胸が高鳴った。
恥ずかしながら銀杏BOYZを聴くとだいたいこうなるが、この曲は不思議とそのむず痒さによってひとりぼっちは明確に世界と繋がった。演奏に入る前の音が光に見える。
この曲はどうにもベタつく。それぞれの孤独もこの日照りの中で溶けたらひとつ。
この先も私のための歌だ。
ドレスコーズ / 聖者
銀杏BOYZ『少年少女』と別の角度からの強い光が差し込んで溶けてひとつになれるこの曲。
外に出て'きみ'ととけ合っても、エアコンの効いた部屋で妄想にふけっていても'夏のきわまり'に思えてくる。
ドレスコーズだから、志摩遼平だからなのだろうか。
志磨遼平の夏の描き方はサマーサウンドが絶えず聞こえ、そこに夏の経験の言葉が乗っていて、いつもずるいなと思う。
Every Little Thing / スイミー
持田香織の歌声がこんなにも落ち着くものだとは失礼ながら知らなかった。夏うたプレイリストを作るまで、ELTには歌番組で見る『Time goes by』の切なさソングのイメージしかなかった。
この曲を就寝前に何度かループして安心感と遊泳感を得て、眠りにつく日が何日かあった。
イントロから持田香織の声がお日様に触れたお布団みたいにやさしくて、歌詞入りの通り、不思議な世界を簡単に浮遊できてしまう。深部体温の下がる曲だ。
夏の終わりに
どれだけ日本の夏は人の心を豊かにさせるのか。夏が始まると胸の高鳴りを、夏の終わりには愁いを唄う。
だから、夏真っ盛りなプレイリストと夏の終わりのプレイリストを分けた。
この酷暑も急に終わるだろう。それまでにまた晩夏プレイリストの話がしたい。
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