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犬と猫の小さな絵


犬や猫、動物が一番かわいいのは、どんな時?

私は、何より安心し切って自分の意志で思い切りくつろいでいる時だと思います。

私は生まれた時から犬がいる環境で育ちました。はじめは私自身が幼すぎて、犬にかまってほしいばかりに他愛のないたずらを色々としました。しっぽをそっとひっぱったり、頭や背中にお人形とか小さなものを乗せたり、急にわーっと突進して行ったり。3〜4歳くらいの時のことです。そっとしっぽの先をひっぱった時、犬が私のことを噛みました。

怪我をするほどではなく、圧迫されて軽く歯形がつくくらい。でもすごく痛かったのでびっくりして泣いてまわりの大人たちにジョジョちゃんが噛んだ、と訴えました。

家には叔父や祖母などがいたのですが、この時の大人たちの対応には今も心から感謝しているんです。

わあわあ泣いているのに、誰も慰めてはくれませんでした。逆に怒られたのは私でした。

犬は本気で怒ったら怪我するくらい噛むことができるのに、そうしなかったのはおまえが悪いことをしたと教えようとしているからなんだよ。悪いのはお前だよ、ジョジョちゃんに謝りなさい、と。

私は泣きながら「ごめんなさい」と謝りに行きました。ジョジョちゃんは今度は怒らずに、赤くなった私の手を舐めてくれました。

この時、大人たちが噛んだ犬の方を怒っていたら、私の人生は変わっていたのかもしれません。この一件で、犬はとても愛情が深いことを知り、敬意を持って接するようになりました。そのあとも一緒に暮らした犬たち猫たちにたくさんのことを教わりました。

私が思う犬や猫と一緒にいる一番の醍醐味は、もふもふの毛皮を撫で回すことでも、面白いリアクションを楽しむことでもありません。なにより、心からくつろいでもらうこと。その姿に微笑みをもらうこと。それが互いに一番しあわせな関係のように思います。


自分がされたら傷つく、いやな思いを犬や猫には絶対にさせたくない。

そのために自分自身が彼らがくつろげる地面であり空であり「環境」となりたい。


小さいいきものたちを守るためには、自分自身が精神的に大人として成長しなくてはなりません。私の場合は特に16年前、当時放浪犬(野良)だったトラウマをたくさん抱えた犬を保護した時に、この子に安全と安心をあげたい、なんの心配もなく毎日のびのびとくつろがせてあげたい、そのために自分はもっと大人になりたい、精神的に成長したい、と強く思い育ててきました。

犬や猫が、私を成長させてくれた。感謝しかありません。

それだけで十分なのに、犬も猫も全力でくつろぎを提供しようとする私をとことん信頼して、愛してくれるのです。それは一緒に暮らす犬猫と人間の関係性として、本当にしあわせだ、と感じています。

「はじめて飾るドローイング」のシリーズでは、その気持ちを絵に描いています。

人間のそばで、心と体を自由に、なんの心配もなく安心し切って暮らせる犬や猫が、1匹でも増えてほしい。ひたすらに、その願いを込めて。


2017年に制作が始まった「はじめて飾るドローイング」今年で200点を超えました。このシリーズの作品は箱根のポーラ美術館ミュージアムショップでもお取り扱いいただいております。最新作はこちら→P.

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