空に焦がれた記憶
不思議な夢を見ました。
「願いごとはアップデートされなければならない」
環境が変わっても、生き物は大昔から体の形や機能までも作り変えながら、生き延びてきた。力のあるものが生き残ったわけではなく「今」に適応できたものだけが生き延びた。新しい環境で「より良くなること」を強く願った者だけが生き残って来れた。だから、状況に応じて願いごとはアップデートされなければならない。
そんな夢でした。
コロナ禍で見た夢。
何かとても意味がある夢だと感じました。
下記の文章は「空に焦がれた記憶」というタイトルで展示をした時に作品に添えたことばです。「生命力」「意志の力」「細胞」「進化」「よりよく生きる」は私の作品制作に共通したイメージです。今こそ、ヒトの背中に羽が生える時なのかな。
「空に焦がれた記憶」
子供の頃から、「意志の力」というものに興味がありました。
なぜなら、今の私たち生命の形を作った始まりは、
まだ単細胞の生き物であった私たちの祖先の意志だった、
と思うからです。
生命は、同じ形のままずっと生きているわけではありません。
生活様式も、食料も、体の形や機能すら変えながら、
次の世代への記憶を紡ぎながら生きて来たのです。
生きぬくために海を捨て陸に上がった時、
また海から初めて、空を仰いで「飛べたらいいのに」と思った時…
祖先はどんな思いだったのでしょう。
生きていくというのは
見逃すほど日常的で、当たり前で、
誰しも抱えている共通かつ壮大なテーマだと思うのです。
植物を見ても、動物を見ても、よりミニマムに顕微鏡で細胞を見たときも、
みんな真摯に、もっともっとよりよく生きて行きたい、
って思っているような気がするのです。
空を見上げ、空に焦がれた細胞の奥底の記憶に想いを馳せながら、
今回の新作を描きました。
写真: 「空に焦がれた記憶」(niŭ 2017 /変形キャンバス(5枚組)、ジェッソ、アクリル絵具、タルク)