小さなバラは。
大学で映像を学び、現在は立体作品平面作品どちらも制作しますが、私にとっての創作活動の原点は詩作でした。彫刻や立体作品に目覚める前は、本気で詩人になりたいと思い、10代の半ばごろは、歩きながらもずっと詩を書いているほど文字やことばの美しさに取り憑かれていました。今も作品に言葉を必ず添えるのは、どんなジャンルの作品を作っていても、やはり自分の原点は詩でありことばだとの意識があります。立体も平面も、いわゆる一般的な文字やことばではない詩だと思って制作しています。とても久しぶりに詩を書いたので、ここに書き留めておこうと思います。
小さなバラは
小さなバラは 小鳥のようだった
花瓶で萎(しお)れた
小さなバラは
手のひらでそっと包むと
小さな胸を上下させ
今にも身体をぶるぶると震わせるのではないか
やわらかで 触れることすら申し訳ないほど
尊い
ああ これは命なのだ
同じく、等しく、これは命なのだ
その命は今 萎れて息絶えようとしている
私は手のひらのバラの目を そっと閉じる
ありがとう
大きな敬意を込めてその身を横たえ
そっと
土に還す