波と陽炎
かつての憧れが
隣にまだある
呼ぶ声はいつも
異材を溶融する
プラズマの真白な炎
きっと心を抑えて
淡々と謡えばいいのだと
それで見えないところで
世界は綺麗になるのだと
言葉はとても残酷で丁寧に
来し方をなぞり
行き方を暗示する
我らは言葉から始まった
そして超えるために
追い求めて止まない
声は文体と
一体のメタファーとなり
啓示は
語と語の溶融する
ビートに現れる
引き裂く境界を超えんと
幾度も幾度も
捨て続ける詩文の果てに
水は鉱物の硬度と
液体の流れを
我らに身近に
感じさせるように
詩文もまた
放たれた思考の波と
揺れる陽だまりの
陽炎を目指す
言葉の奥の声は
幸せという穏やかな炎を
見失うことがない
むしろ
それを見つめ続けるために
語り続けている
透き通る花ばかリで
世界がもし出来ていれば
我らはもっと
いやきっと近しくなっていただろうか
嘘や偽りなく
人と交わることの出来ない
愚かさを一つ
美しさへ取り替えることが出来たなら