揺れる水月
どこか遠くで
サイレンが響いている
いつまでも消えない
あの日の赤い光のように
似ているようで
決して
重ならない影
夏夜の揺れる水月
留めたい願いは
必ず叶わない故に
憧れは紫と金の夜明けに
諦めは熱帯夜の濃緑に溶け
失われぬ声よ
音叉の一音よ
それは白であるか
蒼であるか赤であるか
それとも紫か
緑であるか
燃えている炎
弾ける息と
不確実な導線の
犠牲の果ての結末
そして
矛盾する復活と血脈
混沌の輝きという閃き
怒号にも似た幻想の甘さ
美しさとは果てにあり
滅びた星の光に似た
遠くからの
生命を超える光