見出し画像

第九ひろしま2024


はじめに

2024年12月15日に広島サンプラザホールで行われた、第九ひろしま2024に行きました。これはその備忘を兼ねたとりとめのない感想です。






インタビュー


司会・横山:今日のスペシャルゲストは角野隼斗さん。わかってますよ、皆さんのお目当ては角野さんですね。このピアノ観てください。こんな向きというのは初めて見ました。この向きなのには理由があるんです。あとでわかりますけれど。私もう20年第九ひろしまの司会をやっていますけど、初めてですよ。出演者がお客さんに背を向けて演奏するというのは。お客さんが、角野さんの背中しか見えなかった、お尻しか見れなかった、と言って帰ることがないよう、角野さんにもじっくりお話を伺っていきますので。

ではご登場いただきましょう。ゲストの角野隼斗さんです。みなさん、お待ちかねの生・角野さんですよ、生・角野さん!
す:やめてください、生チョコレートみたいな。
よ:どうですか、連弾は。
す:なかなかない機会で、マエストロも緊張したのではないかと。
よ:今日は角野さん、こちらのピアノ、この向きというのは私は初めて見ました。こういうことってないですよね?
す:あまりないですね。

よ:弾きふりをされるということで。こちらのピアノで。

私より皆さんのほうが詳しいと思うのですけど。

角野さん、YouTubeの登録者数140万人を超えて、総再生回数も2億回以上ということですけど、自分で自分の立ち位置というか、小さいころからずっとやられていて、こんなにみんなに愛される、いわゆるミュージシャンになれると思って・・夢は何でしたか?
す:夢?僕は全然想像もしなかったし、自分がピアニストになるだなんて、意識し始めたのは本当に最近のことですからね、ありがたい限りでございます。
よ:みなさん、いいですか、東京大学卒業です。凄くないですか。
司会・渕上:凄い。しかも現役で合格されて。
よ:しかも理科系でしょう?
す:あ、はい。
よ:何学部でしたか?
す:工学部です。情報理工学系研究科というところにいました。
よ:卒論のテーマは、どんなタイトルだったんですか?
す:独立深層学習行列分析に基づく多チャンネル音源分離
ふ:・・・ゆっくり言っていただいていいですか?
す:あ、ゆっくり?
よ:いや、ゆっくり言われてもわからんのですけど(笑)
す:よく覚えてましたね、自分では忘れてるかと思ってましたけど。
よ:ピアノの練習もものすごいしたんでしょう?
す:してましたね。
よ:で、勉強もものすごいしたってことでしょう?
す:まあ、それなりには。
ふ:それなりに?!
す:(慌てて)めちゃくちゃしました
よ:それなりにではこうはならない
す:めちゃくちゃしました、すみません。
よ:それなりにではこうはならないですよ。

よ:でも、YouTubeに7歳と10歳のことの動画が上がってるじゃないですか。
す:あ、はい。
よ:あの段階で、たぶん自分でも、俺はただものじゃないと思ってたでしょう?
す:ちょっとした優越感のようなものはあったと思います、学校で一番弾けるくらいの優越感は、きっとあったと思いますけど。
会場大爆笑
よ:同級生とか、角野すげえんだぜという感じではあった、音楽の授業でも。
す:音楽の授業くらいですかね、逆に言うとすげえってなるのは。それ以外は普通にしてましたんで。
よ:でも勉強もできたんでしょう?
す:ああ、そうかも
よ:で、この顔がついているんですよ。
ふ:すべてもっていらっしゃる。
よ:凄いですよね。

よ:そして、次はラプソディーインブルーです。先ほどから何度か出ているこのピアノ。この向きには理由があるのですよね。角野さんが弾き振りをされるということで。いかがですか。

す:弾き振り自体は実は初めてではないのですけれど、こういうコンサートの形でするのは初めてで。
後半の第九は初演から200年、このラプソディーインブルーも初演からちょうど100年なんですね。
1924年、アメリカが発展している華やかな雰囲気がそのまま音楽に入っている、ニューヨークのポジティブな雰囲気がありながら、これはわりとジャズの要素も強いので。ジャズセッションというかわりと即興で、僕が一人で弾いているところはですね、即興でどこかへ行ってしまったりするので、そんなライブ感も楽しんでいただけたらと思います。
よ:ではではみなさん、楽しんでいきましょう。広島交響楽団との共演で、お楽しみいただきます、ラプソディーインブルーです。

(後日追加)

感想など

角野さんと沼尻さんの連弾は、沼尻さんが遠慮している?のか、おとなしい感じでした。(中国放送のインタビューで沼尻さんは、「角野さんの邪魔をしないように弾きたい」と話されていた。角野さんは「とんでもない、邪魔してください」と言っていましたが・・)

角野さんの弾き振りは全体として、少しせわしない感じもしました。やはり弾きながら振るのは大変なんだなと思いました。その1週間前に岩国で、やはり角野さんソリストのラプソディーインブルーを聴いていたのですが、その時はソリストに徹して集中して弾けていた感じで、落ち着のある堂々とした演奏でしたので。今回は、弾いたかと思うと立ち上がって振る、振りながらまた弾き始める、という具合に忙しい。忙しいため音を外したりテンポが狂うこともあって大変そうだと感じました。中盤あたりと最後のところでオケと音が合わない(ジャーンと行くところ)箇所が2回ありました。前回の題名のない音楽会の弾き振り(東京交響楽団)では、合わなかったのは最後の1回だけだったと思います。いずれもピアノが若干早くなってしまう、難しいのですね。東京交響楽団は以前にも角野さんとこの曲を演奏したことがあるのと、やはり団員個々の能力の高さ、慣れというのもあるのかもしれません。東響との弾き振りは、オケとピアノ、息がぴったりの演奏という印象でした。
とはいえ角野さん自身は今回も弾き振りは楽しそうで、モニターに時折映る表情も笑顔でした。気持ちよさげに振っては弾き、指揮をするその手の動きはしなやか、かつ優雅で、カデンツァには第九の歓喜の歌をさりげなく混ぜ、さすがという感じでした。

岩国の時もでしたが広島でも、カデンツァの最中の静かな時に、がたーんと何か機材が倒れるような音がしました。さすがにそれはカデンツァには入りませんでした。

ステージの最後、出演者全員が再びステージに登場し一人一人に花束贈呈が行われ、ケミカルライトを振りながらお客様も出演者も蛍の光を歌って終演。印象に残るコンサートでした。

なお今回会場で使用していたスタインウェイのグランドピアノは、これまで生で聞いた中でも1番といえるほど非常に美しい音色と響きを備えたピアノでした。音大で大事に使用されているピアノを学外に貸してくださり、ありがたい限りです。

※2025年1月2日正午まで、RCC中国放送のサイトで、第九ひろしまの模様がアーカイブ配信されています。視聴はこちら↓



蛍の光を歌いながら振るために渡されたケミカルライト


おわりに



お客と出演者全員で歌う場面もあり(終演後も角野さんは、歌えるようになりたいからとフロイデとぶつぶつ歌っていたらしい)、良い思い出になりました。司会のお二人と角野さんとの軽妙なトークも、とても面白く笑いました。
気持ちよさげに弾き振りする角野さんを見ることができたのも嬉しかったです。


いいなと思ったら応援しよう!