「オールナイトフジコ」第一回感想

フジテレビの80年代の人気番組「オールナイトフジ」的な番組を復活させようという趣旨の番組らしい。
MCは元テレビ東京プロデューサーの佐久間宣行、さらば青春の光・森田、オズワルド・伊藤。
そして現役女子大生集団「フジコーズ」。

10年ほど前にやはり「オールナイトフジ的な番組を」という趣旨の「キャンパスナイトフジ」というのがやってたのだが、ややこしいのでそれについてはおいておく。

「オールナイトフジコ」、面白いことは面白かったが、「オールナイトフジ」時代にやってたことの多くは地上波ではできなくなっていることを、強く証明してしまうことにもなったと思う。

(以下、番組内でハプニングだと思われたことは本当にハプニングだったとみなす)

たとえば、さらば・森田と女子大生が個室サウナに入って、森田がトークを長引かせ女子大生に汗だくになってもらう、というコーナーで、「暑いから」と女子大生が上着一枚脱いだので大騒ぎしていたが、観ている方は、
「いや上着一枚脱いだところでよ……生放送でそれ以上脱ぐわけないし、たとえ水着にまでなったとしてもそれが何なの……」
と思ってしまわないかな。
いや私はそう思ってた(笑)。

番組内でも、「昔のオールナイトフジがいかに無法地帯だったか」的なことを放送してもいたが、
「ああ、80年代の何かが確実に失われた中に、自分はいるんだな」
という感想が、番組を視聴していてどうしても出てきてしまった。

私はテレビ番組のコンプラについてはいつも同じことを書いている。
それは、
「今、倫理・道徳的にやっちゃいけないことは、80年代だってやってはいけないことだった」
ということ。
別に価値観そのものが劇的に変わったわけではないのだ。

80年代だってはげている人をハゲと言ったり女性をブスと言ったりしてはいけなかった。
「テレビ」は、ある意味隔離された無法地帯として、「常識とは違う世界」としてそれをやっていただけだ。
「閉鎖空間の中だけではお目こぼし的に、常識的にダメなことでもやっていい」と思うか、
「閉鎖空間だろうが密室だろうがダメはダメ」
と思うかはかなり違うことなのだが、そのことに気づいていない人も多い。

「オールナイトフジコ」番組内で、「フジコーズ」の女子大生の名札に付けられたQRコードをスマホで読み取ると、彼女たちの番組用のLINEアカウントが取得できる、というのをやってたが、ヒドイメールがたくさん来すぎて選別できないので、来週はなくなっているかもしれないという。

これは象徴的な出来事のように思う。
やはり「オールナイトフジ」的な番組とSNSは相性が悪いのだ。
「オールナイトフジ」は、とんねるずの言う「ギョーカイ」という「密室」を可視化するという主旨があった。
それは「オールナイトフジコ」でも、「番組関係者にコネがあればだれでも出演できるスペース」が存在していたことでなされていたが、そういう「雰囲気」は演出できても、もはや「オールナイトフジ」のように、
「このコミュニティで生きていくのって、大変そうだけど刺激も多いんだろうなぁ~」みたいなことを視聴者に思わせることはむずかしいし、そのことは番組側も気づいていて、そっちに大きく振れることはないんじゃないかと思う。

なお、メインMCが佐久間宣行であることはかなり重要で、「オールナイトフジみたいな番組やりまぁ~す!」となった際、
「また、フジテレビがいつまで経ってもバブル気分で調子に乗りやがって!」という野次馬視聴者の感情を、うまくかわす効果があると思う。

また、サブMCの二人が、「いかにも東京っぽい」芸人でないのも注目どころだと思っている。森田は関西人だし、伊藤は関東の芸人ではあるが、そんなに東京っぽくないというか。

まあそんなことどうでもいいな。
おわりおわり。

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