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無限に広がる無のせまさ

無限に広がる、無のせまさ。

それはスーツケースの中の、身に着けられることのなかった白いネクタイが語っている。
礼服とともに、急遽、量販店で買われた白いネクタイ……。

モノクローム……。

ジッポのライターをカチャカチャするな、とおれはいつもあいつに言っていた。

「リンゴの皮むきをかっこつけてナイフでやるのもやめろよな」とも……。

しかしあいつはやめなかった。

あいつはスーツケースに、使いもしないいろんなものを入れていた。

あいつは「無限」もスーツケースに入れていた。

「どうだ、すごいだろ」

あいつはスーツケースの中の「無限」をチラッと見せてそう自慢して来た。

スペロモント・アーティファクト……。

おしまい(FIN)

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