【感動自作小説】・「新・栗太郎とひょっとこ姫」第3回

「存在感薄い公園」の近くにあるゴミ捨て場には、なぜか賞味期限を1日か2日しか過ぎていない大量のサンドイッチや菓子パン(もちろんビニールの封を切ってない)が捨てられていた。

ポッピョピョン家の家長・ズンドコ之助は、それを拾って生計を立てていた。
何しろ、ニートの一家だから。

今日も大量のサンドイッチをカバンにつめて、ほくほく顔で「存在感薄い公園」の前を通り過ぎようと思ったときに、いつもは人のほとんどいない公園に、人影が見えた。

よく見ると、息子の栗太郎と、宿敵・バーバーダム家のひょっとこ姫が、二人仲良くピョメピョメ倶楽部の振り付けを練習しているではないか!

傀儡(かいらい)と思うことが
何よりも 概説だよ

ヒマラヤの 裏側にいる
猫に 背を向けて

夢を見てよ
どんなときでも
すべては チョコから むさぼるはずさ

きみと 出会ってから いくつもの ピョルポパラピパラシパ
プルスペルポロ マイフレンド

ポリャンピピョー ピャペペ のりたまかけて インザスカイ
拾いやがれ あの 財布~
(「ピョメピョメ倶楽部の大ヒット曲「ポリャンピピョー77」)

その場は、早くサンドイッチが食べたいという気持ちで頭がいっぱいだったので立ち去ったズンドコ之助。

家に帰ってサンドイッチをむさぼり食い、おやつ用に残してあったモモ缶のつゆを飲んでひと息ついてから、隣の家に行った。

隣には、牛(ぎゅう)さん一家が住んでいた。牛さんは、今から3000年くらい前に遺伝子操作で人間っぽくなった牛の子孫である。

「牛さん、電話貸して」
「ええ~またあ~」

牛さんのおとうさんはあからさまにイヤそうな顔をした。
電話代が払えず電話を止められているズンドコ之助は、牛さんのところにしょっちゅう電話を借りに来るのだ。

牛さんがいいとも悪いとも言う前に、ズンドコ之助は牛さんの家に上がりこみ、電話をした。
もちろんバーバーダム家に、である。

「もしもし」
「はい」

出たのは、バーバーダム家の家長である「小麦粉ババア」である。
ババアは、昼間は畳をむしって過ごしているだけなので、ヒマなのだ。

なお、ドロボー稼業(主に銅線泥棒)なので、ニートのズンドコ之助よりも小麦粉ババアは金を持っている。
だから、電話もある。

「おたくんところの娘が、うちの息子と公園で遊んでいたぞ! おまえらのようなドロボー一家とつきあっているとドロボーがうつるんじゃ!!」

ズンドコ之助は電話で小麦粉ババアにそう言った。
ひどい言い方であった。
「ぐぬぬ……」
思わず唇をかみしめた小麦粉ババアであったが、基本的にバーバーダム家は本当にドロボーなので、ババアには返す言葉がないのであった。

第4回につづく

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