ハセガワの「ザブングル」に対するある意見について2
前回のテキストで「ハセガワのザブングルのプラモデルに対して、自分の理想を押し付けている古参モデラー、気分悪いな」というようなことを書いた。
この件は、整理すると、
「自称・模型歴25~30年の古参モデラー、スケールモデル経験もあるようだがガンプラのかなり精緻な改造をしている人が、『ハセガワのザブングルは初心者向けみたいな売り方をしているが、初心者向けじゃないじゃないか』ということを言っていた。しかしいくら何でも、正論で追い込み過ぎじゃないか」というようなことを前回、書いた。
そうしたら、一日経ってツイッターの方で「ハセガワのザブングルはクソキット」という複数のものいいが、炎上してしまった。
前回のザブングル批判には、かなり正当性があったが、「いくら何でも言いすぎだろ!」というのが私の見解だった。
そしたら、自体はもっと悪化してしまったというわけだ。
いちばん驚いたのは、おそらく六十代以上のおたくの人で、
「ハセガワのザブングルがクソキットと多くのガンプラ好きに言われているということは、ガンプラは『ガンプラをつくる人』を増やしたのであって、モデラーが育たなかったということだ」
と書いていたこと。
これは前回よりイヤな話。
というのは、
「ガンプラを憎んでいるモデラー」
が、一定数いる、ということを私が知ってしまったから(笑)。
「庵野秀明を憎んでいるおたく」が一定数いることは、わかっていた。
だから「シン・仮面ライダー」については、もはや「庵野憎し」のつまらない意見はうまくよけてきたのだが、
「ガンプラを憎んでいる人たち」
には気づかなかった。うかつだった。
で、そういう意見については、以下のツイートと私は同意見。
もう「マニアがジャンルをつぶしかねない」の典型なんだよね。
「ガンプラはモデラーを育てなかった」という物言いは、あまりにも乱暴なので、
「前々から気に食わなかったんだ、ガンプラは」
って言っているのと同じことだと感じたね。
だいたい、ガンプラがなかったら、ハセガワのザブングルだって出なかったよ。
そもそも、ツイッターであーだこーだ言ってる「モデラー」はハセガワのザブングルを買ったのか?
たいてい買ってないだろ。
(だから何だ、というわけではないが、私は買いました。)
「ハセガワのザブングルはクソキット」っていう言い方に怒り狂っている人は、「おれたちのハセガワがディスられているのが気に食わない」
みたいなことでしょ?
しかしさあ、「ザブングル」というアニメキャラクターのキットを出しておいて、「接着剤不要」ってうたったのかな? うたってないのかな? とにかく、「ハセガワのザブングル」の告知が出たとき、そんなにつくりづらそうな印象はなかったですよ。
実際、多くのガンプラ好きが買ったわけですよね。だからこそ炎上もしているわけで。
そこはハセガワが、ある程度文句言われても仕方ないと思う。
実際に「ハセガワのザブングル」を組んだ人の感想として、
「ポーズは固定のままが良い」とか、
「サフを吹くと、ゆるかったところがフィットするから、サフを吹く前提でつくられてるんじゃないか」とか言ってる人がいましたけど、
ロボットのプラモデルなんだら、動かして遊べると思う方が普通だと思う。
それと、「サフを吹く前提」なら、成形色を色分けする意味、ないでしょ。
ま、それは「ハセガワびいき」で良いとして、ハセガワのザブングルから返す刀でガンプラやバンダイを批判するのはどう考えてもおかしいね。
私が子供の頃の五十年くらい前に、当時の大人は「糸巻き戦車」とか「竹とんぼ」をつくることを子供たちに異様に推奨していて、当時のプラモデルそのものを「子供ができあいのものをつくって喜んでいる」みたいに批判的に思っていたフシがある。
「今の子供はナイフで鉛筆が削れない」という「批判」も80年代半ばくらいまで根強く存在していた。
それの繰り返しだね、今回のガンプラ批判は。
90年代半ばだったか後半だったか、岡田斗司夫氏の活動を追ったドキュメンタリー番組があった。
その際、プラモ好きの岡田氏が子供の頃につくって保管してあったプラモを見せたり、「子供用の潜水艦のプラモを、今つくる」というシーンもあった。
その際、岡田さんは「ブリキのおもちゃや手づくりおもちゃより、自分にとってはプラスチックのおもちゃだ」ということを、わざわざ言っていた。
90年代後半くらいでも、まだ「竹とんぼ神話」が生きていたことがわかる。
90年代には、地上波でも「大人がプラモデルを愛好する」ことは理解されづらかったのだ。
それとおんなじようなことを、今、五十代、六十代くらいの人たちが言っていると本当に悲しくなる。
それと「ガンプラ批判」には「苦労している方が偉い」という感覚が透けて見える。
「部活中に水を飲むな」と言っているのと似たようなこと。
だいたい、「苦労して手を動かす」ことをそれほど尊いと思うなら、なんで細かく調色した塗料が何百と出ているのか?
さまざまな「プラモデルに使う便利な道具」が出ているのか?
しかも明確にミリタリーモデル用(ガンプラ用ではない)で。
それに「細かいデリケートな作業ができるほど偉い」のなら、フルスクラッチで何でもつくっちゃう人とか、ものすごいジオラマをつくる人とか、原型師とかに何も言えなくならないかな?
どう考えたって、ゼロイチでものをつくってる人の方が偉い、ってことになるよ。ガンプラファンを批判し続けていれば。
まあでも「おたく文化」ってほおっておくと、必ずつまんない方向に流れる性質があると私は思ってるんで、今回もそのパターンとしてひとつ勉強にはなりました。
おもちゃについてケンカするほど、虚しいことないからなぁ。
おしまい
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