見出し画像

イライライライライライライラ2024

以前、懐疑的な(というより否定的な)「超常現象ライターをウォッチングしている」的な知り合いがいて、その人に、
「矢追純一って、いつ頃までUFOや宇宙人の存在を信じていたんでしょうね」と話題にしたら、
「信じていたんでしょうね」の「ね」を言い終わるか終わらないかの瞬間に、

「信じてたわけないじゃないですか!!」

と大声で返してきて、「お、おう」となった。

この人が矢追純一にメチャクチャくわしいなら話は別だが、たぶん著作を一冊も読んでいないだろうと思う。
もちろん、超常現象でもプロレスでも大自然のすばらしさでも何でもいいが、
「そういうことを1ミリも信じていないのに、仕事にしている人」
というのは存在する。存在するが、「本当に信じているのかいないのか、かつては信じていたのに何か裏切られたようなことがあって『お仕事』になったのか」は、かなり調べないとわからないはずである。

当人にインタビューしたって本当のことを言うとはかぎらない件であり、「どう考えてもこの人は信じていない」という証拠が出てこないかぎり、即答できるような案件ではないのだ。
「即答」自体が軽率なのである。

私も矢追純一のインタビューや著作をすべてチェックしたわけではない。
「人々に空を見上げてほしいからUFO番組をつくった(要するに宇宙人がいるかいないかが本質ではない)」的な言動をしていたり、著作のデータが随所で間違っていたりといったことをかんがみると、矢追純一が「あまり細かいことにはこだわっていなかった」ということはありうるが、「細かいことにこだわっていなかった」ことと「信じていなかったかどうか」は、また別の話だ。

もうひとつ、別件でイラッとしたのは、だれかが「カトリックとプロテスタントの違い」について書き込みしたら、それに対するコメントで、「原理主義者からしたらキリストやマリアを信仰することはカルトにすぎない」と書いている人がいたこと。
一行くらいで、サラッと。

いるよなー、こういう人、とあきれてしまった。

キリスト教にはいろいろな分派を異端かどうか判定する長い歴史がある。
なんか、大がかりな会議とかしてましたよね。何百年も前に。
そんな、一行で済む話なわけないだろ。
だいたい「カルト」の定義で言ったら、原理主義者の方が「カルト」ですよ。「原理主義者はカルト」って、「馬から落ちて落馬した」みたいな話で。
こういう「一知半解」的な人にはずいぶん悩まされてきた。
まあ、私もものを知らないですから。

たとえば「ナンシー関がおたく批判をしたことがある」って言ってきた人がいたんだけど、私はナンシー関の著作をほぼぜんぶ読んでますが、いわゆる「アニメおたく」的な人たちを批判している文章を読んだことないんですよね。
1998年のフランスのワールドカップで、チケットが取れないとわかって旅行会社の人を激しく糾弾する人たち、に対して批判的な文章を読んだことはあるけど(ナンシー関の、彼らへの強い嫌悪感を感じたので、覚えている)。

でも「ナンシー関はおたく批判をしたことがある」って言われちゃうと、ぜんぶの文献をさらわないといけなくなる。可能性がまったくゼロ、というわけではないので。だからたいへん迷惑(笑)。
(ただし、ナンシー関は自分のお客さんの中におたくとか、マニアックな人たちが大勢いることはじゅうぶん承知していたので、おたくをおたくとして批判した可能性は、可能性としては大変に低い。ただし、矛盾した言動する人はいるので、ゼロではないってこと)

なお、ナンシー関をいまだに神格化する傾向も、たいへんに気に入らない。
たとえばナンシー関はインターネットの時代になって、いろんな細かいことがわかるようになり、自身の「推測」的なテキストに、何度も訂正文を入れなければならなくなっていた。
最晩年には「時代とズレてきているな」と思わせる文章も少なからずあった。別にナンシー関は神ではない。
ナンシー関を神格化する傾向は、「テレビ批評」の形成をナンシー信者がまたく望んでいなかったことの証明でもある。

映画評論家やミステリ評論家が日本に一人しかいなかったら、明らかに公正を欠くだろうが、ナンシー信者にとっては、テレビ批評家はナンシー関一人がいればいいということになる。

なお、「表現の軸足」として、ナンシー関のアイデンティティは「消しゴム版画」の方に比重が強く、テレビ評はその次、という印象もあって、その辺の読者との認識のズレも、あまり言語化されたのを読んだことがない。

何かこう直観的に「そんなわけねぇだろう」という言説がまかり通っていて、こちらは直観にすぎないので、どうすることもできない、反論したいなら調べるしかない、ということが私にはよくある。

あとこれは名前は出さないが、かつてパソコン雑誌に「おたくに非常に愛情のある連載コラム」を書いている人が、週刊現代だかポストだか忘れたが、そっちのオヤジ系週刊誌のコラムでは、「めんどくさいおたく」を小バカにするようなことを書いていて、
「この人、描き分けが露骨だなー、イヤだなー」
と思ったことも、思い出してイライラする。
(当然、そのことが指摘されたこともない。)

おしまい

いいなと思ったら応援しよう!