小説 ももたろうMOMOTARO2024
むかしむかし、あるところに、
トポーピョンとシェークスピアが住んでいた。
トポーピョンは山へ柴刈りに、
シェークスピアは自宅で執筆活動をしていた。
すると、シェークスピアの仕事部屋の壁に、突然異次元空間の穴が開き、
そこから巨大な桃が飛び出してきた。
シェークスピアは飛んできた桃を、とっさに避けた。
桃は壁に激突し、パカッと割れて、
中から、柴刈りに行ったはずのトポーピョンが飛び出してきた。
シェークスピアはトポーピョンに「何が起こったんだ?」と言った。
トポーピョンの話はこうだった。
柴刈りに行くと、山奥に、テレビで物価高の話題になるとよく出てくる「スーパーアキダイ」の支店が開店していた。
それを横目で観つつ、歩いていると、落とし穴に落っこちた。
すると、いつの間にか大きな桃の中に入っていて、そのまま異次元空間を飛んで、自宅まで戻ってきたという。
シェークスピアは、「じゃあ、きみの移動とスーパーアキダイは関係ないじゃないか。だいたい、山奥にスーパーが開店して、繁盛するのか?」
疑問に思った二人は、異次元空間やスーパーアキダイの支店を確認するために山に入ったが、二度と戻ってこなかった。
彼らの家は、空き家となってしまった。
「おお、ちょうどいい空き家があるな」
通りかかった桃太郎は、鬼ヶ島に行く前に、シェークスピアとトポーピョンが住んでいた家を根城にすることにした。
が、結局、ゲームボーイアドバンスに夢中になって、鬼ヶ島にはいかなかった。
ちなみに、鬼ヶ島の悪い鬼たちはすでに絶滅していて、無人島と化していた。
犬、サル、雉は、「百円でだんごを配る」という店に行列していて、桃太郎ともだれとも出会わなかった。
そして帰宅途中、台風に吹き上げられて空中に消えた。
結局、だれもいなくなってしまったそうである。
おしまい