![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149446592/rectangle_large_type_2_8c1fc186c42f42376142b19de7fdda13.jpeg?width=1200)
超・感動小説 一人で小旅行
何かと一人でカッコつけたがる男・二郎之介は、自宅から電車で二時間ほどの地方都市に、一人で小旅行としゃれこんだ。
しかし降り立った町には、何も見るべきところはなかった。
駅前広場には、聞いたこともない人物の銅像が立っており、そこの名物はなぜか「ホットドッグ」で、どこでも食べられるようなホットドッグを売る店が二軒、あった。
そのうちの一軒は店の前で、数人の子供たちが大騒ぎしながら「あっち向いてホイ」をやっており、もう一軒は昼間はホットドッグを売り、夜はスナックになる店で、厚化粧の中年女性がけだるそうにホットドッグのソーセージを焼いていた。
大騒ぎしている子供のうちの一人が、ドッジボール大の鉄球(用途不明)を銅像に向かって投げつけた。
その鉄球は銅像の頭に命中し、頭ははずれてドスン! と地面に落ち、パカッと割れてしまった。
大騒ぎしている子供たちはそのことに気づいていなかった。
けだるそうにソーセージを焼いていた、もう一軒のホットドッグ店の女主人は、銅像の首がもげたのを目の当たりにしてブルブルと震えだし、焼いていたソーセージを一心不乱に手づかみで食べ始めた。
急にゲリラ豪雨が降ってきて、激しい雨にけぶった町は何もかも見えなくなり、二郎之介が目覚めると、そこは真っ白い部屋だった。
二郎之介はテレビをつけて「ミヤネ屋」を見続けたのだった。
おしまい