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フィギュアのラックを設置することを夢想する、めちゃくちゃおもしろテキスト

フィギュアやソフビを飾るためのラックを、家のどこかに設置したい。
しかしこれが簡単には行かない。
まず置く場所に困る。
本当は窓をふさぎたくないのだが、ふさぐよりしょうがないかもしれん。
場所がないんで。
でも窓をラックでふさいで、火事になったら逃げられないで死ぬよね。

むかしは大きめの組み立て式の本棚を買って、何本も組み立てた。
数えてみたら18本くらい組み立てているな。引くよ。

しかし今はガラクタが多すぎて、そもそもそれくらい大きなラックを、たとえ組み立て式のものでも家の中に入れるのがむずかしい。
ごみ屋敷宣言。

本当は高さ180センチくらいのものが欲しいのだが、家に入れて二階にあげて、一人で組み立てるのはむずかしいかもしれないな。

じゃ、やっぱりやめるか。

ネットで観たら1万8000円くらいだったから、ラックを買わなかったらそのぶん、お金が浮く。そのお金で屋形船でも貸し切って一人さびしく、屋形船の上でサイダーでも飲むか。

「お客さん、一人で貸し切りなんてすごいですね」
「友達がいませんから……」
「でも1万8000円で屋形船は借りられませんよ。この業界、あまり甘く見ない方がいいですね」
「すいません」

私はバツが悪くなってあやまった。

話をラックに戻すが、飾るためのラックだから自分が見えないところに置いても意味がない。
そうすると置く場所もかぎられてくる。

じゃやめるか。
何もかも。

それで知り合いの生活費を盗んで、ヴィンテージの変身サイボーグを買いに行こうと思う。
知り合いが眼が覚めると、生活費の代わりに枕元に変身サイボーグが置いてある。
そこに私が手紙を添える。
「がんばれよ!!」
とそこには書いてある。

友人は生活費が変身サイボーグに化けてしまったことに愕然とする。
というか、そもそも変身サイボーグを知らない世代だ。

彼はスマホで変身サイボーグの写真を撮って、ツイッター(X)に載せる。

「生活費の代わりにこんなおもちゃが置いてあったんだけど、これ何かわかる人いますか?」
彼はツイッター(X)で質問する。

だれも答えてくれない。
彼はだれかが答えてくれるまで、スマホを見つめながら、家の中にかろうじて残っていたカチカチのフランスパンを水で流し込んで食べる。

彼は待ち続ける。
だれかがコメントを付けてくれた。

「それ、ゾイドじゃないですか?」

そうか、ゾイドか。
これがゾイドというものなのか。

(ゾイドじゃないよ)

外を見たら、小雨が降っていた。

夜は、長い。

おしまい






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