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グゴギョゲンガゲ ゲガゴギョガ

こき使われていたシンデレラは、急に自分の境遇にムカついてきた。

「なんでこんなことしなくちゃいけないの!?」

ブチぎれたシンデレラが、義母や義妹たちのためにつくった料理のうえに、ドボドボと汚水を垂らしていると、そこに義姉Aが入ってきた。

「あんた、何やってんの!」
「何やってんのって、汚水を料理の上に垂らしています」
「やめなさいよ!」

シンデレラの持っている、汚水の入ったボールを義姉Aは取り去ろうとして手を伸ばしたが、カウンターでシンデレラは義姉Aの顔に右パンチを見舞った。

「いたっ……!!」

肉体的な暴力に慣れていない義姉Aはうろたえ、顔をおさえうずくまる。
その背中にシンデレラはかかと落としを食らわせた。

「ぷぎゃっ」

義姉Aは変な声をあげて、気絶した。
彼女の背中は、シンデレラのかかとのかたちに凹んでいた。

そこに義姉Bが入ってきたので、すかさずシンデレラは彼女のどてっ腹に、ドロップキックを見舞った。
義姉Bも気絶。

その後、シンデレラは屋敷に放火した。
放火するために、ナントカ健康油を使った。
「これは健康にいいんだ」とか言って、この食用油について、義母が自慢げに話していたのをシンデレラは内心「アホか」と思っていたのだ。

燃え盛る屋敷を、ドデカミンを飲みながらシンデレラが眺めていると、どこかの舞踏会から義母が帰ってきた。

ぼうぼう燃える屋敷を持て義母はビックリ。

「何やってんの!? 義姉たちは!?」

義母が驚いているところにシンデレラは言った。

「屋敷の中で気絶してますよ」

義母は大慌てで燃え盛る屋敷の中に入ろうとしたが、シンデレラが義母のベルトを後ろからひっつかんで、中に入れないようにした。

「あなたも燃えちゃいますよ?」

「離しなさい、離しなさい、ケジメなさい!!!!!」

義母はベルトを引っ張られた状態で、両腕をグルグル回して叫んだ。

すると、近藤真彦の「ケジメなさい」がどこからともなく流れてきて、それが大音量となり、あたりいちめん、ダイキャスト製の昭和の合体ロボットおもちゃで覆いつくされた。

テレビでは知らん五十代の女優が、

「わたし、小さい頃は男の子と間違われるくらいやんちゃだったんです」

とどうでもいいエピソードを語っていたという。

(遠野物語拾遺より抜粋)

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