ごめんねドーナツホール
大人になってから思い出してみると、その塾の机が学校のより幅がせまかったのが原因だと思う。
中学3年に上がる前の春休みに、学習塾の春期講習に通っていた、という話をする。
わたしはその講座中にたびたび、机から物を落っことしていた。
小さい会議室に長机を並べた少人数の会場で、筆箱や定規を折りに触れスパーン!スパーン!と床に叩き落としていたので
講師の(今思うと)若い男性から「おいどうしたw」と声をかけられたのを覚えている。
しかし何故か試験の成績は良かった。たしか塾のなかではトップだったと思う。
試験の点数は高いのに、授業ではスパーン!スパーン!やって場を荒らす。今思うと異常者だ。
当時の自分をかばうために言うと、塾の机が会議用の長机サイズだったせいでそうなった。
ノートはここ、テキストはここ、筆箱はここ。と決めていないと当時のわたしは手が動かせなかった。
だけじゃなくて、集中してくるとシャーペンと赤ペンがここで消しゴムがここ。ぐらいの狭い視界で読んだり書いたりしていて、その範囲を出たものは見えていなかった。
(時空超越描写になるけど大学受験直前では黒ペンと赤ペンを右手に同時に持ってた時期があって今ではどうやってたのかわからない)
学校の机の幅はなんとなく感覚で把握していたし、自宅では父親がゴミ捨て場から拾ってきた(って言ってた)クソデカ事務机を与えられていた。
ので、集中して視界が狭まってもとくに困ることはなかった。
あと学校の机ではだいたい寝てた。
まあ、そんなわけでその塾では、視界から見えなくなった筆箱とかをスパーン!って床に落としてた。講師や他の生徒さんにとっては迷惑行為でしかない。
ダメだ庇いきれなかった。ごめん当時の自分、お前は傍迷惑な異常者だよ。
春期講習の終わりの方で個別面談があったので自転車こいで塾まで行った。何故か朝一番の枠だった。
わたしの記憶では面談担当は「おいどうしたw」の講師の人だった、と思う。
講師みんな同じ人に見えてたので、違うかもしれん。
「えー、◯◯高校志望と。まあ問題ないんじゃないでしょうか。このまま油断せずに頑張れば大丈夫です。以上です」
って言われた。
「なんか、もっと話すことないんですか!?」とわたしは返した。
面談って、なんかもっとこう、いろんなお話を聞けるものだと思ってたから。
そしたらその(今から思うと)若い男性は言った、
「ないですよ。この後、言うこといっぱいある人が来るからこっちは大変です。あなたは問題ないんで」
それで外に出た。
外に出たら、まだ朝もやの漂っている時間だった。
(何だこれ…)
と、強く思った。
何だこれ。
中3春期講習を受けること自体も、親からは「そんな必要ある?」って渋られたのを頼み込んでのことだった。
不安だった、当時のわたしは、何をどのくらいやればどうなるのか誰も教えてくれない。中学校の授業は明らかに自分以外の子を対象に進められていて、イライラするから寝てやり過ごしてた。
でも「もっと恵まれた環境で楽勝に進学してる層いるからね」ぐらいの話は聞いてる!
それでお前! 他の生徒が何だって!!??
大通りの向こうにミスドがあり、
当時は24時間営業だった。
自転車に乗ってそこへ向かったときの気持ちだけは今でもはっきりと覚えている。
なんか! なんかモヤモヤするけどドーナツ食べよ!!
ドーナツはおいしい!ミスド最高!!
ミスドは今でもわたしの逃げ場です。
ドーナツ大好き!!
…何だこれ。
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