植物イベントで草を買ったら根がなかった話
タイトル通り、ちょっとした珍事がありました。
先日、隣市の植物専門店でファミリー向けの催事があり、一日限り植物全品20%オフという滅多にないセールをお目当てに行ってきました。
誤解を恐れずに言えば、ここの植物は『管理状態が良いかといえば微妙』というのが以前からの率直な印象で、筆者の中では『通りがかりにのぞいて入荷したての珍しいものがあれば嬉しいお店』というような位置付けです。
品揃えは特別マニアックというほどではありませんが、ちょっと珍しいアガベやビカク、それから斑入りのパキラやモンステラはおさえてあり、逆にポトスはない。そんなトレンド重視のオシャレな雰囲気。
直近では、そこそこのボリュームのザミオクルカスレイヴンが比較的安価で並んでいたこともあり、今回のイベントでは良い出会いがあればと期待に胸を躍らせていたのでした。
そして購入したのがこちら。
問題のグリーンドラムです。
どことなくディスキディアっぽい枝垂れていく感じがあり目に留まりました。
しかし、大株はあまりに立派で高価。場所の都合もあり購入を諦めたところ、その近くにあった子株が、なんと1100円の20%オフとお手頃価格ではありませんか。
この時点で「なるほど、この大株から子株作って売ってるんやな」と理解し、納得の上で手に取りました。
さて、もうお分かりでしょう。
鉢から抜いた姿がこちらです。
この状態のものに値札をつけて鉢物として並べていたことに驚き、呆然とし、一周回って笑いが漏れました。
しかもその日は大衆向けのイベント当日。
キッチンカーやワークショップからやって来たであろう初心者さんも大勢です。
店内では斑入りのモンステラのカット苗(茎だけのやつです)なども水差しで売っていましたが、それはいいんです、見ればわかるので。
だがこれはアウトではなかろうか。
専門店が鉢物として販売している以上、これはアウトではなかろうか(2回目)
しかし同時に、いやこれはnoteのいいネタができたぞ、と思う自分も存在します。
さらにいえば、全く発根していない状態であると知ったのは帰宅後で、隣市まで戻る時間や手間を考えると返品という選択肢はもうありません。
植物好きにとっては発根チャレンジも楽しみのひとつですから、諸々のネガティブな感情を押し殺して作戦を練ることにしたのでした。
グリーンドラムについて
さて、そもそもグリーンドラムとはなんぞやというお話です。
どことなくディスキディアを思わせたと先述しましたが、調べてみるとこれはウリ科のクセロシキオス属の多肉植物の仲間で、マダガスカルの乾燥地帯に自生している種なのだとか。土に根を張って育つ地生植物です。
クセロシキオス。
聞き慣れませんが、日本では『緑の太鼓』という別称でも知られているそう。
多肉らしく土中の多湿を嫌い、明るい場所を好みます。
耐寒温度は見るページによって、5℃とも0℃とも表記がありました。
水分を切れば越冬もできるとあるので、カラカラの水苔にプスプスと刺してあっても枯れていなかったのはこのためでしょう。
発根方法について
発根管理については諸説あるようです。
一般的な多肉植物と同様に、一度乾かしてから土に挿す葉挿しに挿し木、そして水耕栽培。
今回購入したものは、よく見れば茎がすでに筋っぽいような気もするため、後者の水耕栽培に挑戦してみることにしました。
(調べた限り、難易度的には水耕栽培の方が失敗が少なそうに思えます)
方法は簡単。
水に浸かる部分の下葉を落とし、メネデール希釈水に挿します。
これで直射日光の当たらない暖かい場所に置いておく、それだけです。
関西では一足飛びに夏も去り、朝晩は冷えはじめていますが、ひとまずはこれでうまくいってくれることを願います。
さて、経過です。
9/23
9/25
これは想定していなかった事態です。
なんと3日目にして発根チャレンジの半分が終了してしまいました。
調べでは発根には2〜4週間を要するとあり構えていたために、喜ばしい反面、少し拍子抜けすらしてしまいます。
これは店舗で維持されていた期間がカウントされたものと思われますが、店頭ではわりとガビガビに乾燥した水苔に挿さっており、図らずとも『一度乾燥させてから湿った土に挿す』という挿木の手順を踏むかたちになったのが功を奏したのではと考えます。
最後に
思えば退店際、店主はよく喋りました。
「これめずらしいっスよね〜!あんまり入荷ないんでボクが増やしたんスよ!根っこどうかな〜!もう生えてるかな〜!(チラッ 植え替えるのはしっかり張ってるか確認してからにしたほうがいいかも〜!(チラッ うん!しばらくはこのまま育てたほうがいいかもしれないっスね〜!あ、乾燥気味でね〜!!」
この状態で平然と陳列していたことに、そしてそれを買った素人っぽい客がいたことに、一抹の罪悪感のようなものが芽生えた…のかもしれませんね。知らんけど。
さて、筆者としては想定外の実験ができ、また結果も上々とあって概ね満足しています。
このグリーンドラムは耐寒性はそこそこですが、明るい場所を好む、とのことですので、鉢上げが間に合えば、冬が来るまでは屋外に置いてみようかと考えています。
いずれにせよ愛着のあるひと株となりましたので、今後も大切に育てていきたいです。
また変化があれば追記します。では!