闇の壁
扉を開けたら闇だった。
闇が壁となって口を開けている。
その形相には魅惑が漂っている。
来る者を阻みながら手招きする。
そして、戸惑い。
暗黒の壁、とでも言うのだろうか。
私は立ち尽くした。
暗黒の壁を前に。
入口なのか?出口なのか?
入るべきか、入らざるべきか。
私はその扉を開けてしまった。
私は暗黒の壁を見てしまった。
好奇心。
入れるものだろうか?
戻れるものだろうか?
暗黒は未知の世界。
形もなければ色もない。
凹凸もなければ濃淡もない。
均一ののっぺりとした闇、壁。
闇とはこういうものなのか。
闇は発光しない。
闇は沈黙する。
闇は振動しない。
闇の中に埋まる?
壁の中に埋まる?
塊なのか、広がりなのか。
それさえも解らない。
それが私を身動きできなくしている。
それが暗黒の力かもしれない。
さて、と。