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nitsubonome
2023年4月10日 11:43
昭和40年代前半、私は小学生だった。貧しい家庭だったが、生活に不満は無かった。それは少年の、小さな不思議への眼差しだった。今でも、私の深くに刻まれている。母は私に、振り子時計のネジを巻くことを教えた。柱の鴨居の上にある掛け時計。私は踏み台に乗り、振り子が止まった時計の蓋をあける。蝶形の巻きネジを取り出して、時計のネジを巻く。ネジ穴はふたつ。右と左。両方ともにネジを巻いていく。ギリィリィ