見出し画像

「勝手に DI 室」抗精神病薬と体重変化 どうアプローチしよう

抗精神病薬は「太る」とよく耳にします。
実際に患者さんからその様な相談を受けた人もいるのではないでしょうか。太るならば、どの位増えるのでしょう? そしてどの薬なら太りにくいのでしょうか。仕組みから見てみます。

抗精神病薬の作用の中にセロトニン受容体(5HT2c)を遮断する作用があります。5HT2c受容体が遮断されると体重増加や脂肪組織の増大、食欲増進作用のあるグレリンの分泌が促されます。それにより食欲亢進や脂肪組織が増大し体重増加が起こる可能性があるといわれています。


抗精神病薬の副作用から見る違い

新たに抗精神病薬による治療を受けた場合の1年間の体重変化についてみてみましょう。
平均年齢 27.0 歳 ( 15.4- 48.3 歳)、 男性が 62.2% 含まれるこの試験では、ハロペリドール、リスペリドン、オランザピンの 3 種類は、開始してから 3 か月で有意な体重増加がみられました。
特にオランザピンの増加が大きくみられます。さらにその1年後、3 つの間には大きな差は少なくなりましたが、最終的に体重増加は 10㎏ 前後増加という結果となりました。(1)

Perez-Iglesias R, et al. Schizophr Res. 2008 Feb;99(1-3):13-22. PMID:18053689 より作成

どの薬なら体重増加作用が少ないのか

他の抗精神病薬では、どのくらいの体重増加のリスクがあるのでしょうか?
こちらの文献を参考にみてみましょう。
定型抗精神病薬と呼ばれている第一世代より非定型抗精神病薬と呼ばれている第二世代の方が体重増加のリスクが高い傾向にあるようです。
その反面、第二世代は錐体外路症状(extrapyramidal symptom=EPS)のリスクが低いことが分かります。(2)
もし、第二世代による体重増加に困っている場面があれば、アリピプラゾールを提案の選択肢として、この文献を活用するのも手段の1つかもしれません。

Patel KR,et al. P T. 2014 Sep;39(9):638-45. PMID:25210417 より編集・作成

ほんの一例ですが、患者さんの状態、性質、体質、治療経過を考慮した上で、色々とアプローチ方法が考えられそうですね。

参考:

Perez-Iglesias R, et al. Schizophr Res. 2008 Feb;99(1-3):13-22. PMID:18053689
Patel KR,et al. P T. 2014 Sep;39(9):638-45. PMID:25210417



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?