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やさしさに息詰まる『ハーモニー』が描く世界【オススメの一冊】

どうも。書くメシU30’sの西嶋(@ultrarunnerman)です。

GWはじまって2日が経ちましたがいかがお過ごしでしょうか?

僕はというと今日は大濠公園でランニングを友人たちと一緒に楽しんできましたよ。

そして、その後はひたすら読書。GWは積読していた本をガンガン読んでいきたいなーって思っています。

さて、今回のテーマは【オススメの一冊】

みなさんは、どんな本を読みますか?

僕は小説や古典、エッセイ、福祉に関する専門書、ビジネス書などなど本屋でぷらーっと歩いて興味を持った本や友人から紹介された本は読みます。

なので、どんな本を選ぶか悩みに悩みましたが、今回は伊藤計劃さんの書かれたSF小説「ハーモニー」を紹介させていただきます。

前回のやさしさってなんだろう?という問いを考えるなかで、さらに自分のなかで考えるきっかけをくれる一冊だったんですよね。

前回やさしさとは、相手の身になって考え抜かれた親切なのでは?という答えをいろんな自分の経験からひも解いていきました。

どちらかというとポジティブな捉え方が主だったんです。

そして「やさしさ」は人によって捉え方が違うってことも意見を述べさせていただきました。まさにハーモニーはその捉え方の違いを感じさせられた作品となっています。

前置きが長くなっちゃいましたが、「ハーモニー」紹介していきますね。

やさしさで統制された社会

今回ご紹介する本は伊藤計劃さんの「ハーモニー」

まずはざっとあらすじを。

21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択したーそれから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見るー「虐殺器官」の著者が描く、ユートピアの臨界点。第30回日本SF大賞受賞、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門受賞作。
【「BOOK」データベースより】

この作品は、80歳になっても病気をすることもなく、未然に悩みを持たないようにAIが正解を導き失敗しない社会を描いていました。

Amazonなどで本や物を購入すると、「あなたにオススメな作品はこちらですよ~」って案内された経験があると思うのですが、それがもっと進んだ社会です。

誰もが悩まずに失敗することもなく、人同士の争いもない。人に優しくすることが当たり前。そんな調和のとれた社会をハーモニーのタイトルの由縁です。

読んだときに、もしかしたら今の世界で起きている問題を全て解決していった先に行き着くユートピアのような気にもさせられました。落ち込まむことなく死まで健康な状態たどり着くことができる。たしかに、よさげに感じるところはありますよね。

実は中盤からその「やさしさ」という狂気が支配している世界を表現していることがわかっていきます。

山あり谷ありな人生がいい

コントロールされて、よい状態を保つということ。

ある種、過保護なお母さんやお父さんが子どもに失敗させないように未然に防ぐようなイメージが湧きました。あれこれ指示されて確かに大きな失敗をすることはありませんよね。これをある人はやさしさと呼ぶのかもしれませんね。

たしかに自分で選択することで、
間違ってしまって怒られる日もあるでしょう。
意見が合わず喧嘩もして相手は何を考えているかわからないこともあります。
失敗続きで自分に自信が持てなくなるときもある。
風邪で鼻詰まりが気になりすぎて眠れない日や
飲み過ぎてしまって、二日酔いでつらくて後悔してしまう日もありました。

たしかにその瞬間はめちゃくちゃ辛いんですよ。

でも、だからこそうまくいったときの喜びは大きい。
わからなかったけど、違う一面や相手の背景を知ることによってわかり合えたときの嬉しい気持ち。
自分で決断して、できたからこそ得られる小さな小さな自信。
風邪を引くからこそ、普段元気であることの有難さに気づける。
飲み過ぎたけど、それが時を超えて笑い話になる飲み会。

そんな些細な山や谷の起伏が人生の醍醐味のように思うのです。

小説ハーモニーの後半では、そんな統制された社会に対して不満を持った人物が反乱を起こしていくんです。かなり哲学で考えさせらる作品となっておりますので、GW興味のある方は手にとってみてはいかがでしょうか?

以上、オススメの一冊の紹介でした。それではGWお楽しみください!



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