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「酒スト的地酒論」 各論編まとめ

SAKE Streetで、「酒スト的地酒論」という連載を執筆しています。
(わっしーさん(@wassy1974)と僕の共著でお送りしています。)

テーマ別に日本酒と地域の関係性を考察しつつ、地酒の「地」とはなんなのか、「地酒」という言葉の魅力と可能性、ひいては今の時代に「地酒」という言葉に注目する意義を明らかにしていこう、という連載企画です。

先日公開した第4回で、いったんテーマ別の「各論編」が終わりまして、次回第5回は「総括編」となります。第5回の内容ですが、今のところほとんど決まっていません。

なので、このnoteで第0回〜第4回の内容を振り返りつつ、第5回はこんな感じになるのかな〜〜という現時点のアイデアを書いてみようと思います。
(第0回〜第4回をすでにお読みいただいている方は、振り返り部分はスルーしても問題ない内容です!)

第0回:地酒の「地」ってなんだろう - なぜ、今「地酒」なのか

前半部分を僕が、後半部分をわっしーさんが書いています。
SNSを見ていると、刺さる人には刺さる内容にできたのかなと思います。
この第0回の問題提起をしっかり受け止める第5回にしたいですね。

<要旨>
・全国どこでも、海外でも美味しいお酒が造られるようになった
・一部の酒蔵は美味しさだけではない個性を追求し始めている
・ワインの「テロワール」、クラフトチョコレートの「Bean to Bar」など、他の嗜好品にはそれぞれ独自の「地域との関わり」を重視する価値観がある
・日本酒にも、40年近く使われ続ける「地酒」という言葉がある
・「地酒」という概念を掘り下げることが、日本酒ならではの地域との関わりを見出すことにつながり、日本酒の未来に役立つのではないか

<SNSの反応>

第1回:原材料 - 日本酒の原材料は、ローカルでありグローバル

いちばんSNSでの反応が良かった回でした。
執筆はわっしーさん。さすがです。
SNSでの反応が良かったのは、やはり日本酒の地域性として、原料と日本酒の関係が一番注目度が高いこと。
加えてこの記事ではそれが高いレベルで言語化されていたからなのかな、と振り返っています。
さすがわっしーさんです。(大事なことなので2回言いました)

<要旨>
・自由だからこそ、各蔵のこだわりが表現される米
・水は日本酒造りの「与条件」。その可能性を引き出すべく酒蔵が工夫
・米と水を支える副原料の存在
・日本酒は広域化(グローバライズ)と現地化(ローカライズ)を行き来しつつ各地に根付いてきた

<SNSの反応>

第2回:流通と消費 - 進む地方の衰退。「地元で愛される酒」の将来は?

僕にとって一番関心の高い分野ということもあり、僕が執筆しました。
酒蔵の方々から積極的に反応をいただけたのは、ずっとこのテーマで考えてきた甲斐があったなと思っています。
「地酒」というものがどうやって生き残っていくか、に焦点を当てた回でした。

<要旨>
・時代により変わる、物流の影響
・製造と消費の地域性を繋ぎ、それらを高める役割を果たす商流
・消費の地域性は維持が困難、 都市圏の販売と両立が必要
・「疎」になる地方で、酒蔵が地元と「密」に関わることに、流通と消費の地域性を保つ鍵があるのかも

<SNSの反応>

第3回:地域経済 - 「地元資本」の酒蔵が支える、地域の現在と未来

わっしーさんによる力作です。
第2回・第3回ともに広い意味でエコノミー的な話題なんですが、第2回はお酒と地域の関わり、第3回は酒蔵と地域の関わりにスポットがあたっています。
ここで出てくる「地元資本」という考え方は、第4回にもつながりました。

<要旨>
・地元の「農」を支える酒蔵
・設備/道具メーカー発展の歴史と現代における「地元志向」の高まり
・観光により地域経済とのつながりが強まる
・現代における季節雇用からの脱却と経営の変化
・雇用のミスマッチを乗り越えて、移住を前提とした雇用改革を
・地域経済の活性化に貢献できる可能性を秘めた、「地元資本」としての酒蔵

<SNSの反応>

第4回:文化・コミュニティ - 「地元の文化を守る」のは誰のため?

最新記事です。僕が執筆しました。こんなに長くなるとは・・・。
地域文化と酒蔵って、歴史的にも関わり合いが深いのですが、経営的にどうなの?意味あるの?という問題に踏み込んでみた内容です。
この点に関しては、とにかく参考文献にあげた木原先生の論文が素晴らしいのでこちらだけでも読んで欲しいです・・・!https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010814060.pdf

長すぎるのもあってか、SNSでのフィードバックがまだまだ少ないので、ぜひぜひ反応いただけると嬉しいです。ダメ出しなどもどんどんください!!

<要旨>
・コミュニティ作りと関連する酒蔵の成り立ち
・移ろいやすい食文化と日本酒
・工芸文化に影響を与えられる可能性のある日本酒
・造り手の意思により日本酒に反映される風土
・技術革新の歴史も日本酒に地域性をもたらす
・全国的な文化の創造、コミュニティの機能強化という可能性
・地域文化への貢献は、地域企業の経営基盤を強くする

<SNSの反応>

第5回・総括編の方向性

これまでの内容を振り返って、第5回・総括編の内容には以下のような要素が出てくるんじゃないかなあと思っています。

(1)「人の意思」の重要性
(2)「相互作用」の存在


・・・といってもこの記事の冒頭に書いたように、第5回の内容はほとんど決まっていません。ここに書かれている通りにならないかもしれないですし、他にもあるかもしれません。
これを読んだ方にもぜひご意見いただければ、と思っています!

(1)「人の意思」の重要性
第1回〜第4回と、かなり広範なテーマで考察をしてきて感じるのは、どの点で地域性を表現するかは酒蔵によって差があるということです。

地元消費を大事にする酒蔵もあれば、地元の原料を大事にする酒蔵もあれば、文化的な地域性を大事にする酒蔵もあります。
同じように「地元の原料を大事にする」といっても、米農家を買い支える形を取るのか、自ら米を育てるのか、はたまた水の特性を活かすように酒造りをするのか。

どの選択が正しいとかではなく、古くから幅広く地域と関わりながら成り立ってきた日本酒だから、地域性の表現の仕方にも多様性があるということなのだと思っています。
そして多様な選択肢の中で、地域とどのように関わり、それをどのように酒を表現するかは、「人の意思」によるものが大きいと感じています。

酒造りにおいても、素材をそのまま使うのではなく「麹を作る」という工程が存在し、複雑な発酵プロセスをたどる日本酒は、人の意思の介在する余地が大きいものです。
地域との関わり方も、「選択肢が多様で、人の意思の介在余地が大きい」というのは、気候風土など所与の条件を重視する考え方よりも「日本酒的」である、と言えるように思います。

(2)「相互作用」の存在
日本酒は地域と多様な関わり方をしていますが、その中のいくつかは「変化」を前提としています。特に第4回の「文化・コミュニティ編」ではこの点を繰り返し強調しました。
近年では、先ほど「所与の条件」と書いたばかりの気候でさえ変化が訪れようとしています。

日本酒と地域の関わり方自体も、変化を前提としているように感じられます。もっと言うと、地域が酒蔵に、酒蔵が地域に影響を与えながら変化していく、というような「相互作用」は、日本酒と地域の関わり方のなかでも、独自性の高い特徴なのかもしれません

現時点で見えているのはこんなところです。
まだまだ色々と考えてみて、きちんと仕上がるように執筆を進めたいと思います。
長い連載になっていますが、最後までお付き合いいただければ幸いです!!

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Kohei Nito
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