「新しい乗り物」の開発に携わらせていただいております<2022-3rd>
前回記事に引き続き,2022年11月に実施された,竹原大崎上島間において深夜早朝に行われた船がロボット化した「自律航行船舶」の実証実験の様子をお届けいたします!
前回記事
広島県豊田郡大崎上島町生野島でなぜ実証実験を行うのか?
住民台帳上の住民は13人,2021年度の本校の調査において9名の方が住む2次離島である大崎上島町生野島。島に商店等はなく,1日7往復の町営フェリーさざなみ(町営フェリー「さざなみ」/大崎上島町 (town.osakikamijima.hiroshima.jp))が島の外に出れる唯一の「交通手段」である。昨年度調査で,町の大半は月一回の買い物で出る程度であり,また島外に出た後の,大崎上島での陸上交通等の便が悪く,町民は高齢者が大半でもなかなか,安心して免許の返納やポジティブな外出は億劫になりがちになっていた。そのような状況をもとに,様々な島民の課題をもとに,昨年度,実証実験を実施した。(詳細は、こちらをご覧ください)
昨年度の実証実験などの調査結果は,下記の論文にその成果が掲載してあります。(p.17-19 峯本ら:自律航行船による物資輸送実証実験に対する島民の意識調査-広島県生野島を事例として-)
日本航海学会講演予稿集 vol.10(2022)No.1 | 日本航海学会 (j-nav.org)
今回は、この調査の中で明らかになった,「生野島の一次離島化」のニーズにフォーカスし,水上タクシーによる早朝移動の可能性を検討した実証実験となります。
生野島へいざ行かん🚢
この記事では11月18日早朝に実施した,竹原港ビジター桟橋ー生野島福浦港桟橋の早朝時のロボティクスボートによる水上タクシーの実証実験について紹介します。
3:00頃の竹原港では灯りも最小限しかなく辺りは真っ暗,外気温10℃ととても寒い夜でした。そんななか出港に向けて着々と準備が進みます(学生もできる範囲で作業のサポートを行います)
システムの起動やバッテリーの充電などの準備が整ったら・・・
ライフジャケットを身に着け,安全対策もばっちり!実施。
自律航行船舶EightKnotⅠは3:30生野島に向けて,いざ出港しました。
真っ暗の中で煌々と光るものが
出港後海の上ではより暗さが増し,飲み込まれてしまいそうな恐怖感を覚えます。
しかし顔をあげてみると,冬を代表するオリオン座もばっちり見えるほど満天の星が!
夜間の,瀬戸内海の軍艦島とも呼ばれる東邦亜鉛株式会社契島工場もとても見ごたえのあるものでした!
約1時間ほど航行し,生野島に到着しました。
生野島福浦港では,今回乗船していただく方々が待機してくれています。
乗船していただくのは,昨年度行われた実証実験でお世話になったかたです。
桟橋付近には海霧(写真左:海上のもや)が発生していましたが,問題なくスムーズに着岸することができました!
竹原港へ
乗船中は私たちと,テレビ局の方と,生野島の住民の方へインタビューが行われていました。乗船の感想として,「乗り心地がいい」「夜中など時間に関係なく自由に使えるようにしてほしい」などのご意見をいただきました。
また,乗船していただいた方からのご意見はこの記事の最後のほうにも掲載しておりますので,ぜひご覧ください。
EightKnotⅠ号は竹原港に5:45到着し,今回の実証実験も何事もなく終了することができました。
乗船していただいた方のご意見
乗船していただいた方々のご意見を一部ご紹介させていただきます
「生野島に住んでいると,移動時間を逆算しなくてはならず,前泊するなど帰宅することを諦めたり宿命だと考えていた.当日に帰宅できる可能性があるなら,新たにこうして利用できるのは助かる」
「海上ではマナー違反をしている船もいるので,そういう船に気を付けて事故のない運航をしてほしい」
船の外にいた乗船者は,「スピードが上がってもこれだけ静かなの?!普通の船ならうるさくて会話できないよね?!」と驚かれていました。
また,乗船後にこんなお話ももらいました。
「水上タクシーとはいえ,一番重要だと感じるのは,約束した時間に船が桟橋に来て,予想時間付近に目的地に着くというところだと思う。このことを守れないと,島の人たちからすると,非常に重要なことであり,少々不便でも、既存のフェリーのほうが良いと感じてしまうかもしれない。」
「無人になるときの安心感が欲しい。救命胴衣や,様々なもの一つでも何かあったときに,どうにかなるという安心感あるシステムにしてほしい」
「私たちも高齢になってきたので,早く実装するというスピード感は大切だと思う」
毎度ながら,「やってみないとわからない」というスタンスと,現実的な要望を生野島の方々とコミュニケーションできることは,非常に重要であると感じました。本当に感謝しなければならないと感じます。
運航者側にたってみると、自律航行は…
私含めて,学生が乗船し,実際に操船監視をしているエイトノットさんと一緒に常時3名以上,安全に実験ができるように乗船をしていました。実際に
,エイトノットさんの操船を見ていると,非常に自律航行による,操船する負担は少ないように思えました。その点,現在の法体系上では,無人は難しいですが,この操船がないことで,経済的に安心して,かつ人間は監視にかなり集中できてそうな印象を受けました。この技術が,より次年度以降無人化に動いていくと思うと,非常にわくわくします。
最後になりますが,駄文ながらここまでお読みいただきありがとうございました
竹原にある山から見た11月18日の朝日とともに,今回はこれにて締めとさせていただきます🌞
次回記事もどうぞご覧ください😉
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