「新しい乗り物」の開発に携わらせていただいております<2022-2nd>
前回に引き続き、大崎上島の「スマートアイランド推進実証調査業務」を株式会社エイトノットさんと共同して開発していくパート2です。 今回は「スマートアイランド推進実証調査業務」についてより深く説明していこうと思いますので、どうぞ最後までお付き合いいただければと思います。
エイトノットHP
前回の記事
背景と概要
「スマートアイランド推進実証調査」とは国交省が令和2年度から離島の高齢化と人口減少に伴い、島内のドライバーなどの業務従事者の減少や売上減少によって公共交通の維持が難しくなっていることを懸念し、ICTやドローンなどの次世代の持続可能な島内交通、物流手段の確立するために始まった取り組みです。また、最先端の乗り物を導入することで島の活性化にも繋がるとも考えられています。
広島県大崎上島は令和2年度と令和4年度に「スマートアイランド推進実証調査」が決定されました。
令和2年度の取り組みとしては、【低コスト自動運転・オンデマンド予約を活用した島内交通・物流確保の効果検証】という検証名のもと株式会社富士通総研が開発された自動運転車両で検証されました。
詳しくはユーチューブもしくは国交省参考
令和2年度からの課題を踏まえ、今年度は新たな海上交通機関として、広島県大崎上島はAIを利用した自律航行船や物流をより簡易化するための物資輸送ドローンの実用性を検証し、島外からの物流をよりやりやすくする持続可能なシステムの実用化を目指しています。
なぜ早朝夜間での実証実験なのか
大崎上島はご存じの通り、橋のかかっていない離島で、21時5分の竹原行きのフェリーを逃せば島から出れなくなり、21時30分の島行きのフェリーを逃せば島に帰れなくなってしまいます。この既存のフェリーの運航外は大崎上島は完全な孤島になってしまい、本土との連絡手段が経たれてしまいます。
そこで、【大崎上島町オンデマンド水上タクシー推進協議会】は「いつでも・気軽に本土に行ける移動環境づくり」を目標に24時間利用可能な海上交通の整備し、様々な人材が大崎上島と他の地域を自由に往来しながら生活できることができる移動環境の整備に取り組んできました。
本土と島の行き来が自由になることで離島に住みたくない理由の「交通の便が悪い」が解消され島の活性化につながると考えられています。また、将来、需要減少が懸念されているフェリーの代替・役割分担の可能性があり、人材不足の解消にもつながります。
今回の実証実験前に島民にAI船が普及した際の満足度や現在の不満点などが書いてあるアンケート調査に協力していただきました。アンケートを通しての島民の意見では、「本土にいる時、常にフェリーの時間を考えなければならないから既存のフェリー外で島に行く手段があるとうれしい」や「スポーツ観戦中、途中で抜けないといけないからかなり困る」などのご意見をたくさん頂いていました。
これらの声がある限り、島の活性化、人口減少を食い止めることは不可能であることが分かり、早朝夜間での実証実験が必要であることが分かります。また、これによりどのように島が変化していくか考えていく必要があります。
新しい姿の島
【大崎上島オンデマンド水上タクシー推進協議会】が目指している島の未来は世界とつながる「ひかりあふれる学びのある島へ」を基本理念として掲げた『教育の島』と2050年までに二酸化炭素排出量ゼロを目指す『ゼロカーボンシティ』、新しい技術などを積極的に導入する『次世代モビリティ』の3つを目指し、その課題解決のため実証実験に取り組んでいます。
「スマートアイランド推進実証調査」では『次世代モビリティ』の課題解決のための実証実験です。
また、株式会社エイトノットさんが開発された自律航行プラットフォーム「エイトノット AI CAPTAIN」が搭載された小型EV船「Eight Knot Ⅰ」は電気推進なので環境にも優しく『ゼロカーボンシティ』の課題にも取り組まれています。
Eight Knot Iの活用技術
「エイトノット AI CAPTAIN」はAIによる自律航行船による人件費削減、
機械による操船であるため安全航行の実現、そしてこれらふたつが合わさることで収益性の向上が見込めます。更に既存フェリー事業者も、自律航行船が代替交通となることで、もともと利用者数が少ない時間帯の便数を減らし乗組員も負担軽減、さらには効率的な運航による収益増加も見込まれます。
実験内容
Eight Knot Iを用いて、大崎上島~竹原市(本土)間を航行し、ニーズ検証と利用体験を通じた自律航行に対する意識変化等を評価・検証しました。
今回の記事は竹原港~鮴崎港間の航海での出来事や乗船者の反応を書いていきたいと思います。
Eight Knot Iに乗船!
東京からの出張帰り、本校職員が広島空港最終便で島内の自宅に戻ります。最終便の東京発の飛行機に乗ると、島内に戻ることが、フェリーの最終便の都合上できません。しかし、水上タクシーを使えば、それが可能となります。そこで、予約システムで予約を行い、竹原港に車で向かいました。
無事に、竹原港に到着。ここからは、竹原港ビジター桟橋にて、乗船前の留意事項をスタッフにレクチャーされ、いざ乗船です。
本校職員は、乗船される前から楽しそうでした(笑)
竹原港~鮴崎港間の航海に乗船していただいた方に、感想を伺いました。
「うるさいエンジン音もなく揺れも少なかったのでこの船でお酒などを飲んでもとても楽しかったと思う。あと、離着桟がスムーズに行っていてその安定度の技術には驚いた。」
という感想を頂きました。
次回,「夜間生野島航路に乗ってみた」についてお届けいたしますので,ぜひご覧ください😌