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ラジオ体操のすすめ・その二重の効用〜生命の鎖をつなぐサプリメント〜

 人間の運動体は、クラゲ体の段階以下の運動体=入浴・睡眠等を土台として、アバウトには魚類の段階(腹筋、背筋等の体幹運動)→上陸しての四足体の段階(腕立て、雑巾がけ等のハイハイ的な運動)→サル類の段階(ぶら下がり、物を持って大きく振り回す、おんぶにだっこ、スクワット等の木登り、樹上生活的運動)→木から降りての立つ・歩くの二足体の段階(股関節重心かつ骨盤前傾での立つ・歩くという運動)という、いくつかの段階が重曹的に重なり合って、1つになったところの運動体であるから、理想的には1日のうちでそれらを行うことが求められる。現実的には1週間単位くらいで、それらの過不足を補ってやる形になるとは思うが...…。

 さて、「ラジオ体操のすすめ」。いろんな人がいろんな見方・考え方から薦めることが多いラジオ体操。その実際的な効用については語りつくされているとも思えるので、「生命の歴史」(南郷継正)の繰り返しという観点からの、ラジオ体操の効用について書きたいと思う。

 それは端的には2つ、1つは全身運動であるということ。人間の運動体は、その原点は単細胞体の段階の全体としての蠢くレベルの運動であるから、そもそもそれは全身運動であるべきもの、これは魚類体の段階以降、器官の分化・進化が進んでいっても、基本的には全身運動であったが、人間に至ってそれが崩れていって、部分的な偏った歪な運動を行うようになっていく、その最たるものが例えば、スマホ操作。全身的には安静状態を保ちながらも、目と指先だけは激しく使う、運動させる、結果として、なんとなくの不調・違和感から、目の疲労、肩こり、首こり、場合によっては腱鞘炎などになっていってしまう。

 しかしながら、人間の体というものは、全身の運動レベルに応じて内臓が働くものであるから、本来ならば運動体の全力疾走に合わせて、内臓も全力疾走するものであり(呼吸が激しくなり、心臓がドキドキし、肝臓は栄養を放出し...…)、それによって十分な酸素と栄養素が供給され、不要なものが処理されて、運動体も正常に働けるものであるが、全身が安静状態であれば、内蔵の働きも安静状態レベルであり、十分な酸素や栄養素の供給も、不要物の処理もなされない状態の、(スマホ操作は)眼や指先の全力疾走であるから、様々な不調や病が起こってくる。そこを補ってくれるという意味での全身運動としてのラジオ体操の効用。

 もう1つは、人間の運動体の重層性の「生命の鎖」(ウィリアムス)をしっかりとつないでくれるものとしての、かけたる部分をつなぐ、いわばサプリメントとしての効用。

 これは、実際にラジオ体操をやっていただければわかることであるが、胸を張るとか、腕を回すとか、手足の屈伸、体をひねる、首の運動と、日常の仕事や家事では運動させない部分をしっかりと使う、その運動不足を補うような形になっている。それゆえに、ラジオ体操は、それ自体が全身運動であるだけではなしに、1日の運動全体の足らざる部分を補うことによって、1日の運動を全体として全身運動になるようにしてくれるという効用がある。

 これは例えば、食事の偏りを補って、全体としての栄養バランスを整えてくれる、「生命の鎖」(ウィリアムス)をしっかりと繋いでくれる、サプリメントと同じ役割と言っていいと思う。

 それゆえに、わずかに15分程度の運動が大きな効果を生むのであると思える。自身が運動不足の患者に、まずラジオ体操(と歩くこと)を進める所以でもある。


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