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刺繍するのが楽しい映画③

「アフターサン」はミニシアター映画でもかなり人気だったらしく、パンフレットが売り切れ、メルカリなどでは高値で取引されています。
なぜそこまで人気なのか?
なんのデータもとっていない、証拠ゼロの憶測でいうと、やはりあの「アンダー・プレッシャー」からエンディングの流れが人々の心にブッ刺さった思っています。
20年前の父娘の最後の夏休みの様子も、楽しいけど寂しさや物悲しさ、不穏な空気が流れていて印象的ではありますが、特に父娘についての説明はされないまま進んでいくので、知らない親子のホームビデオ感があります。

それが、父娘の夏休み最後の夜に「アンダー・プレッシャー」に合わせて2人で踊るのですが、その曲が父娘の気持ちを代弁するかのように映画館に大音量で流れます。
そして、刺繍もしたシーンのようにギュッと抱き合う父娘。
知らない父娘のホームビデオかぁと油断していた私は、度肝を抜かれて前のめりになってしまいました。

「アンダー・プレッシャー」後、娘と別れた父の背中を映したあと、現在の娘の様子が映し出されて映画は終わります。
知らない父娘の話だったのに、喪失感で体中がいっぱいになります。
さすが監督の自伝的映画です。

「アンダー・プレッシャー」の威力たるや!とか父娘役の俳優さんたちピッタリだったなとかも思いながら刺繍するのが楽しい映画でした。


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