被害想定
北大の西浦先生がコロナウイルスに介入をかけなかった時に死者数が42万人と想定されるということを発表したそうで、ネット上では賛否両論騒がしいようである。どういうシミュレーションをしたのかはよくわからないけれど、今の日本でコロナウイルスの致死率が2%として、不顕性感染が8割とすれば、日本人全員が感染したとすれば顕性感染は1億2千万人の五分の一の2400万人になる。その2%とすると48万人の死者ということになる。
当然、今の日本の医療体制では48万人の患者を引き受けるキャパシティはないので、溢れた重症患者は無治療で放置されかねなくなり、その場合には致死率はもっと高くなる。仮にイタリアやスペインと同じ程度の10%の致死率を前提にすれば240万人の犠牲者ということになる。西浦先生の想定は控えめな数字であろう。
想定は想定でしかなく、政府や国民の対応によっていかようにも変わりうる数字である。政府も国民も、当然アカデミズムや企業も全力で感染者の数を減らすことに協力し、あるいは治療薬やワクチンの開発を行うことに全力を尽くすべきである。それでも避けられない死を迎える人をゼロにはできないだろうけれど。
今回は100年に一度の事態なので次第収拾にノウハウを持っている人などそもそもいないのである。できることは発生した事態に対していかに対処するかという知恵と行動力である。
事態に怯えて逃げようとしてももはや逃げ場はないし、泣いても叫んでも少しも事態は好転しないことは間違いない。まあ、「アベガー」を叫ぶ人たちはそれが精神安定剤なのだろうから無理にやめろとまでは言わない。ただ叫ぶだけでなく政府の足を引っ張るようなことはしてはいけない。「アベガー」に許されることはただ叫ぶことだけである。
中には「た、たかが42万人など大したことじゃない」と強がりたい人がいるかもしれない。イギリスは20万人の犠牲者が想定されたことで集団免疫戦略を引っ込めざるを得なくなったのである。イギリスの人口は6600万人である。