見出し画像

東福寺と幻の巨大寺院・法性寺(ほっしょうじ)について

 紅葉が色ずく前に、つまり大勢の人が訪れる前に京都東山区の東福寺を見学することにした。東福寺と言えば”通天橋から見る紅葉”は日本でも有数の絶景として名高い。しかし今回は紅葉の東福寺を見に来た訳ではない。東福寺という寺の領域、つまり寺域を歩くことが目的なのだ。それは何故か!今の東福寺が建てられる前に法性寺(ほっしょうじ)という巨大な寺院が存在したことを知ったからである。今回は寺院編という内容で記してみたい。

東福寺駅(JRと京阪電車が近接する)改札口

 東福寺へはJR京都線東福寺駅か京阪電車東福寺駅が便利だ。改札を抜けると大和大路という北向きの一方通行の旧街道にあたる。信号が少なく京都市内に行く車にとって抜け道的存在だ。交通量が多いので充分に気を付けたい。

大和大路(南から北方向を見る)

 大和大路は通称、伏見街道とか本町通りと呼ばれ、対向車がない道だ。単純に大和に通じる街道ということであるが、歴史の重さをを感じる道である。また道行く人々は外国人が目立ち、京都人気がこの道からも表れている。

東福寺北門(西から)
「洛陽三十三所観音霊場 第二十一番札所 法性寺」現法性寺

 大和大路を南へ下ると左手に東福寺北門が現れた。巨大な門構えである。その向こうは東福寺の寺域である。しかし今回の目的である法性寺を少しでも理解するべく、現法性寺を探した。何と街道沿いにあるではないか!簡単に見つけられたものの、閉所?されている。説明板も文字が剝がれていて読めない。ここには木造の千手観音立像(国宝)を本尊とされており、是非拝顔させていただきたかったが叶わぬ夢に終わった。

東山本町陵墓参考地(京都市東山区本町十六番地)
円墳状の土盛りが見える

 法性寺から大和大路を南へ下ると、左手に柵がありL字に曲がる道が見えた。表札は文字が色褪せ見えない。「東山本町陵墓参考地」、どうやら宮内庁指定の陵墓(墓)らしい。調べてみると本来、塚本社という社がある古墳、塚本古墳といわれていたらしい。また古墳は古来から九條廃帝の御陵の伝承がある場所であったという伝承から、宮内庁が陵墓参考地として指定したのである。残念ながら中には入れない。陵墓参考地つまり誰の墓かは不明なのだ。何とかコーナーから古墳を覗くと、目測で約2.0m程度の土盛りが見えた。古墳であることは間違いない。円墳、恐らく後期古墳と思うが前方後円墳であれば、これまた面白いだろう。この地域も多くの古墳が点在していた可能性がある。

ここから先は

2,321字 / 11画像

¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?