北陸旅行記#6 #Day3 #発酵
福井、石川、富山を巡る北陸旅行記の3日目です。今日のメインは東尋坊と金沢で開催されている発酵文化芸術祭。発酵文化芸術祭は今回の旅のメインであり、この芸術祭に行くことをコアにして、行ったことの無い福井、行きたかった蒸溜所に訪れることで旅が構成されています。
東尋坊
いつものことなんですが旅の朝は早いです。なんせ、せっかく来たんだからあっちもこっちも行きたい。そう考えると自然と早朝からの活動になってしまいます。あと移動はレンタカー使わずに公共交通機関で構成しているので、時間の制約もかかってしまい、仕方なく早朝という場合もあります。
今回は7時にホテルを経ち、福井鉄道、えちぜん鉄道で三国湊駅まで向かい、そこからバスで東尋坊へ行くことにします。平日の朝の時間なので車内は結構人がいます。多くは高校生の通学客。こちらは旅行中の気ままな環境。学生だけに限らず通勤客を見ていても思いますが、そのon/offモードの対比が「あー、休みとって出かけてる!」感が、なんとも言えない感情を掻き立てます。
本日天気予報は雨。しかも結構激しい時間もありそうとのこと。
列車で移動中に雨足がどんどんと強くなってきます。天気が良ければ東尋坊の遊覧船に乗りたいと思っていました。ですが、HPを覗くと「欠航」の文字。やりたいことの上位に挙げていたので正直かなりショックでした。海面レベルから柱状節理を見たかったです。
終点の三国湊駅では1人だけ降りていき、そのまま列車は折り返していきます。降りた1人は、そう、僕だけ。少し古そうな小さな駅舎がある終点駅です。東尋坊へ向かうバス停は駅から少しだけ歩いた民家?の軒先下。かろうじて雨がしのげるので助かりましたが、風も強く傘をさしているのに濡れることに。しかも寒い。
三国湊駅の1つ手前の三国駅は立派な駅舎です。どうも東尋坊行きのバスは三国駅からきているようで、そちらで待っていた方が快適だったと思います。雨の日にバスで向かう方は三国駅をどうぞ。
バスで揺られること20分ほど。9時前に東尋坊バス停に到着。参道で見られるような両脇にお店が連なっている道を進むとその先に東尋坊が現れます。お店は9時オープンからなのか、どこも準備で忙しくしていました。お店がずっと続いていたのが、最後のところで建物がなくなり東尋坊が姿を表します。この時、列車の中からの雨風の激しさはおさまっておらず、進んで建物がなくなった瞬間に傘が風で持っていかれる状況です。傘さして行くのはマジで危険。仕方がないので傘をしまって、着ているダウンのフードを被り、濡れながら写真と動画をパパッと撮影してきました。ほんのわずかな時間だったのにびしょ濡れ。でもせっかくここまできたんだから写真くらいは頑張って撮らないとね。
遊覧船も乗れず、雨風強いし、やれることないので次の目的地へ移動のためにバスの時間を確認するとあと20分。東尋坊タワーなるものが9時オープンで、ちょうどそのタイミングで横を通ったので少しの時間潰しに登ってみることにします。500円。雨にも濡れず快適な環境で東尋坊を一望。遠くまで眺められて良かったです。が、高所が苦手な僕はずっとソワソワ。怖いことにお金払ってまで体験してるのなんでだろう。
その後バスで芦原温泉駅へ向かい、そこから西金沢駅で乗り換え鶴来駅へ。
発酵文化芸術祭 鶴来
発酵文化芸術祭は3つのエリアが会場になっています。その一つが鶴来(つるぎ)。移動と時間の都合上、はじめに金沢ではなく鶴来を訪れました。展示物は鶴来駅から少し距離がある場所で、レンタサイクルで当初は回ろうと思っていましたが雨模様。降ったり止んだりで諦めました。
発酵文化芸術祭とは関係ありませんが白山比咩神社という立派な神社があるようなのでそちらも回ることにし、駅からバスで移動。バスを降りて少し行くと発酵文化芸術祭会場の加賀一の宮駅が現れました。もう駅としては使われていない、廃線になった路線の駅です。駅舎は古いですが立派。その中でアーティストの作品を鑑賞することができます。
そもそもなぜここ鶴来が発酵文化芸術祭の開催エリアなのか。
何も知らないままに訪れた今回。駅を降りても田舎の、昔はもっと活気があったのだろうなという印象しかない街並み。平日だからというわけではないだろうが人通りもまばらで、車社会の今を表す雰囲気。これだけだと「発酵」の芸術祭とはリンクしません。ですがこの土地、醸造業が集まる土地なんだそうです。酒、醤油、酢、糀を作るお店や会社が揃っているという珍しい場所。そのような説明を読んで、これまでどんな醸造業がその近くにあるなんて考えたこともありませんでした。できても、ここには酒蔵が集まっている、醤油が有名など特定のものに対してだけ。ジャンルを超えて、発酵、醸造という大きなジャンルで括った時にその地域に何があるのか、そうゆう視点は僕にとって新鮮でした。
今回の芸術祭、発酵に関連する場所に作品が展示されています。
あるところでは酒蔵の店舗の一角。
上の写真は萬歳楽本店の一角。このほかにもアートが飾られていたのですが面白いことにそちらは「触っていい」んです。美術館に飾られるアート作品は目の前にあり触ろうと思えば手の届く距離にあります。でも、当然ですが皆さん「触ってはいけない」とわかっていて、目に焼き付けることはすれど手は伸ばしません。それが当たり前だし当然という意識が僕の根底にありました。なんて書いてますが、それに気づいたのはこの場所で「触っていい」作品に出会えたから。触ってみるとキャンバスの上の凸凹が肌で感じられ、目で見ること以外の作品との向き合い方を教えてもらえました。
先入観は自分では気づけていません。でもそれが何かのきっかけで気づくことができる経験は何物にも変え難い。これからもたくさん経験したい。でも日々の当たり前以外の世界に触れないと発見できないんですよね。それって時には大きなエネルギーを必要とするし、そのこと直接でなくても、知らないところに行くためのエネルギーを求められる。楽、でないベクトル使わないといけないんです。歳とってくるとそのエネルギーが減ってきている恐怖を感じます。
発酵文化芸術祭 金沢
鶴来から金沢市内へ移動しました。終点の野町駅にも芸術祭の作品が2点。
さらに駅から歩いて3か所目指します。
1つ目に訪れた場所は、その時はやっておらず涙を飲むことに。次に訪れたのは空き家の中の展示。
なんじゃこりゃ、と初め思いましたが、書いてあることに従って進めると頭の中が動き出します。こうゆうきっかけを作ってくれるのもアートの力だと思います。現代美術に興味を持ち始め、知識も何もないので見ても正直何が何だかわからないのですが、それを見て感じて、頭の中が動き出す感じが面白いです。
3軒目に訪れたのは四十万谷本舗。アート作品鑑賞後、店員さんが商品を紹介してくださいました。初めて知ったのが、”かぶらずし”。かぶら、ってなんですか?みんな知ってるのが普通?僕は恥ずかしながら知りませんでした。かぶら、って”かぶ”のことなんだそうです。かぶ、糀、鰤を使った食品で、「すし」の名前を持っていますが米の上に魚を乗せたものとは全く違う姿です。発酵の旅ですし、食べてみたい、持って帰ろうとレジへ。購入の際に持ち帰りの時間を尋ねられ、どうやらこのかぶらずしは要冷蔵で日持ちしない食べ物だということを知りました。まだ旅はあと2日続きます。どうやら金沢駅内にも店舗があり販売しているということで、明日、金沢駅で購入をおすすめされたのでそうすることにしました。でもよくよく考えると明日朝に買っても11月だけど常温で2日持ち歩くのは大丈夫なんだろうか。
夜のぶらぶら
金沢21世紀美術館
今日の宿はカプセルではないけど、カプセルホテルのようなタイプの宿に泊まりました。ホテルどこも高いし、寝れればいいので。最近はご無沙汰ですが15年前はよくゲストハウスに泊まっていました。あの頃はゲストハウスが増え始めていた時期だった気がします。
チェックインを済ませ、食事処探しも含め雨の中の散歩。宿近くの21世紀美術館は明日行こうと思っていましたがこの時は20時まで空いてることを知りました。行って知ったのですが、無料で入れる場所、展示会チケットが必要な場所があるんですね。遅い時間だったので無料スペースだけぐるっと周り、なんと無料スペースにジェームズ・タレルのブルー・プラネット・スカイがありました。直島の地中美術館で出会ったオープン・スカイ。また体験したいと思っていたので感無量です。
雨空の下、雨が滴るその空間も今日だから出会えた、そう思わせてくれた1日の最後でした。朝の風雨の東尋坊から始まり、雨でうんざりの長い1日でしたが全て忘れさせてくれましたね。こちらの作品ですが、僕は見て楽しいとかはないのですがその空間が好きです。それがなんでなのか言葉にできる力を持っていないのがもどかしい。なんでか落ち着けてリラックスできる気がしています。
ライトアップの金沢城
散歩途中にライトアップ中の金沢城を見つけました。ちょうど紅葉の時期ですし、外国人の方々が沢山いて楽しんでいるようでした。特に紅葉した紅葉の前では写真撮影で大人気。綺麗ですよね。
晩御飯はスーパーのお惣菜
雨の中の散歩に疲れ、夕飯をどうしよう。それにしても金沢は人が多い。外国の方が多い。お店は沢山あってどうしようか決めるのが難しい。実は鶴来の蔵元で火入れしていない日本酒を購入していました。今日の宿は飲食は共同スペース限定なので日本酒飲むにもそちらでやるしかありません。その場所はキッチンや食器も充実。朝から動いてクタクタだし、食材購入してそこでゆっくりと過ごすことに。
宿近くのスーパーで晩御飯を購入し、日本酒を飲む。こちら純米酒で吟醸ではないのですが香りがとても華やか。女性の方に刺さりそう。日本酒も今回のテーマの「発酵」で作られている発酵食品です。そんな理由にかこつけて今回の旅で4合瓶2本目。1人で1日で4合飲むのを連日はなかなかにきつい。でも発酵がテーマの旅だし飲みましょう。日本酒美味しい。
いい具合に酔っ払い3日目は終了です。明日も発酵文化芸術展を楽しみます。