2024年はパッケージマダミス躍進の年:数字から見るゲームマーケット2024秋
ゲームマーケットはマダミスのパッケージ新作が一斉にリリースされる場で、その年のパッケージマダミスのトレンドを掴むことができます。
ゲームマーケット2024秋はサークル数、新作の数ともに過去最高を記録しており、作品数でみれば前年比1.5倍に拡大しました。
この傾向はゲームマーケット2024春から続いており、2024年はパッケージマダミス躍進の年となりました。
まず基本的な数字を整理すると、ゲームマーケット2024秋でマダミス作品を出展したサークル数は66、新作本数は74本です。
ゲームマーケットは秋に出展・新作数が多く、春は秋と比べて少ないという秋高春低の傾向があります。そこで2024春ではなく2023秋と比べると、2024秋はサークル出展数・新作本数ともに1.4倍になっています。
サークル出展数・新作本数は2024年春から増加していて、2024年春は前年同時期と比べると新作数が1.5倍、サークル数は1.8倍でした。
2024年は2023年と比べると春秋ともにサークル出展数・新作本数がおよそ50%増ということになります。
2023年の新作の総数は2022年とほぼ同じで、パッケージマダミス市場は成長が鈍化していたのですが、2024年になって急激な拡大をみせています。
これからミステリーやADICE(viviON)、探偵キャンプといった企業のパッケージマダミスへの参入も要因の1つですが、新たな個人サークルの参加が最も大きな要因です。実際、今回のゲームマーケットでは20近いサークルが新規にマダミスを販売しています。
いくつかの新規参加サークルの方に会場で話を聞きましたが、直接のきっかけは1つではなくさまざまでした。大まかには「マダミスというとても面白い遊びを知って自分も作りたくなった」とまとめられます。
これは個人サークルが新規参入するプリミティブな動機であり、「自分も作りたい」というのは古参のマダミスサークルも同じ理由だったはずです。
新規サークルによる新規作品の増加があるということは、つまり2024年のパッケージマダミスの躍進は、新たな層へマダミスが拡大した結果といえます。
新作のプレイ人数では5人用が最も多くて、3分の1を占めています。
2023年の主流は4人用で4割近くを占めており、2024春も7割近くを4人以下の作品が占めていましたが、5人用に主流が移っており、6人用も増加しています。
リッチな体験を提供するためには人数を増やしたいが、プレイ人数が増えると遊びづらくなるというせめぎ合いから5人という人数に落ち着いたと考えられます。また個人サークルもオンラインやウズで気軽にリリースできますが、それらのプラットフォームは4人以下が主流ということを考えると、せっかくパッケージで出すならというオンラインやウズとの差別化も理由でしょう。
頒布価格は2023春ぶりに平均が3000円を超えて3015円です。
2023春は一部の高額商品が平均価格を押し上げていましたが、今回は突出して高額な作品があるというより、箱がしっかりしている作品は軒並み平均を上回っており、特に企業の作品が5000円台、6000円台となっています。
これは円安、インフレの影響で、マーダーミステリーミニシリーズも2024年11月1日に価格改定されています。
インフレの影響はパッケージマダミスにも出ているということであり、価格が上がることはあっても下がることはないでしょう。
とはいえプレイヤー1人あたりにすると1000円程度なので、店舗作品と比べるとはるかにリーズナブルです。
2024年のパッケージマダミスは制作者も作品の数も一気に増えました。
一方で新作マーダーミステリー大賞やこれミスマーダーミステリー大賞ではパッケージの大賞受賞作は該当なしが続いています。
マダミスは1回しかプレイできないので、"ふつうに楽しめる作品"はもちろんリリースされ続けてもらいたいのですが、制作者が増えることでパッケージならではで革新的な作品が出ることも期待しています。