見出し画像

~私たちの行動が地域を変える~

【プロフィール】
▼髙橋 拓哉(写真左) たかはし・たくや。埼玉県戸田市出身。大学時代、地元の戸田市にて青少年活動を開始、初就職先でNPOに12年間勤める。現在は独立行政法人にて人事職、副業で出版社顧問をしつつ、中野区野方に(株)xalibreを共同創業、野方商店街振興組合に加盟し地域活動に参画している。
▼吉岡 秀(写真中央左) よしおか・しゅう。茨城県境町出身。学生時代は地域創生に関する専攻を履修。大学卒業後の2022年から同会議初期メンバーとして、現在3年目。会社員の傍ら、小学生の放課後支援やビーチクリーン活動といった様々なボランティアを行っている。
▼池田 恵子(写真中央右) いけだ・けいこ。東京都出身。出産を機に地域に目を向け始め、育休のタイミングで同会議に参加。現在は、同会議のメンター・事務局を担う。本職では、教育業界で中高生に探究プログラムを届ける仕事を行うかたわら、アート会社での新規事業立ち上げのサポートを行う。
▼日本青年団協議会会長 中園 謙二(写真右)
なかぞの・けんじ。1980年生まれ。岡山県倉敷市在住。2008年、岡山県青年団協議会に入会。日本青年団協議会役員を経て、2020年より同会長。

日本青年団新聞2月号

YouthPost2025年2月号6p「リーダーと語る」
 社会の最前線で活躍する方と語り合い、あらゆる角度から地域を見つめる本企画。今回は、東京都内で活動する中野若者会議の3名と対談した。発足3年目の若者会議で、自分たちの暮らすまちをより良い場所にしていくために日々取り組む若者たちの活動に迫る。

◆大人版「探求学習」
※探求学習……日常生活や社会のなかにある問題について、自ら問いを立て、調べ、集めた情報を整理・分析し、答えを導き、まとめるというプロセスを踏んだ学習のこと

(中園)中野若者会議の活動はいくつかのテーマごとのチームに分かれていますよね。それぞれがとても興味深いテーマだと感じていました。例えば「情報発信×若者」のチームでは「中野区の若者にもっと中野を好きになってもらうための情報発信」のようにあらかじめ、活動の目的が決まっているのですか。
(髙橋)区や事務局からの参加者へのテーマの提示は、「各テーマの枠の中で、チーム内でできることにチャレンジしてみてください」という感じでした。具体的に目的やしなければいけないことが提示されるわけではなく、自分たちで何をするか決めていきます。3期にあたる2024年度、情報発信チームでは、「中野区のwebサイトやSNSの情報の密度、配信方法などを統一すること」「そのための準備のミーティングを官民共同で行いたい」という2つを区長に提言しました。
(中園)テーマのもとに目的が決まっているということではなく、このテーマの中で何ができるかという考え方だったのですね。とても学びのある活動だと思います。
(髙橋)探究学習の大人版をイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんね。

◆アクションのある提言を
(中園)若者会議に参画する中で、印象的だったことがあれば教えてください。
(池田)私は去年、2023年度の講評の時に聞いた「最強の政策提言はやってみせること」という言葉が印象的で、今でも覚えています。これは、若者会議だけではなく、仕事にもいきることだと思いました。
(中園)私自身も、言葉だけではなくて「行動で引っ張る」ということを青年団で学んできて、その経験が仕事にいきていると感じる場面が多々あります。
(池田)中野若者会議が他の若者会議や活動と比べて特別すごいことをやっているという感覚はないのですが、1期から継続して参加してきて、区側も受け入れようという姿勢が年々強くなっているなというのを感じています。区から私たちの政策提言や活動にきちんとフィードバックをしてくれたり、実際の政策に反映してくれたり、予算をつけようとしてくれたり、様々な場面で行政側の動きが感じられて、「自分たちがアクションを起こして提言をすることで区政を変えていける」という実感が3年目にして湧いてきています。
(中園)若者が「自分たちで自分たちの地域を変えることができる」という実感を持てることって、すごいことですよね。自分たちが取り組めば区政が変わるという実感が伴うからこそ、より地域や政治に関心が向いていくのかなと思います。
(高橋)学者の両角達平さんが今年講評で言ってくれた「若者会議の活動自体が実は民主主義の実践で、中野区ではそれが実現できている」という言葉が印象に残っています。

◆背中を押してくれる仲間との出会い
(髙橋)また、2期(2023年度)の報告会の後の打ち上げで、同棲している彼女との今後に悩んでいることをメンバーに話すと、真摯に話を聞いてくれて。そんな仲間ができるという意味でも、若者会議や青年活動に助けられています。人生初めての転職も2期の活動を通して、仲間の後押しがあって、することができました。吉岡さんもそうだと聞きました。
(吉岡)私も最近転職したのですが、そのきっかけをくれたのも若者会議のメンバーです。若者会議の他のメンバーにも、同じような人がたくさんいます。
(中園)仲間の後押しって、心強いですよね。私も今の会社に入るきっかけは青年団でした。転職しようか迷っていた時に、仲間が背中を押してくれました。一緒に何か行動するのではなくても、自分が決断するときに背中を押してくれる仲間ができたことは、私も青年団活動をしてきて良かったなと感じる部分です。

◆若者会議が地域と若者の架け橋に
(中園)活動の中で、今まで見えていなかった学びや気づき、地域との関わりがあれば教えてください。
(吉岡)中野区は単身世帯の若年層が多く、地域とのつながりが希薄だという声を聞いています。若者会議のメンバーの中にも、会社と家の往復の毎日という人や、大学進学で上京したために気の置けない友人が近くにいないという人が多くいます。実は若者会議が、そういう人たちの拠りどころと言いますか、若者の居場所や受け皿になることができていた、という気づきがありました。
 地域との関わりで言えば、イベントを通じて「中野にこんなお店があったんだ」とか「中野にこんな人が住んでいるんだ」とかを知ることができました。そこから派生して、私自身、中野区内でも地域振興や多文化共生をテーマに持つような様々なコミュニティに参加することで、中野区の良さを再発見できましたし、同じ中野区で暮らしている中野区民としての一体感や誇りがうまれたような気がします。
(中園)中野区の良さが見えてきたと伺って、地域に視線が向いていて本当にいいなと思いました。やはり、自分の住んでいる地域が好きではない状況だと、なにか豊かではないなと。私自身も、自分の地元にネガティブな感情を抱いていた頃は、心が貧しかったなと感じています。
 中野若者会議では、あらゆる面から若者の精神的な居場所を創造しているのだな、と思いました。今のような居場所が社会でも求められています。改めて、私たち青年団もそのような活動をしていかなければならない、と思わせていただきました。今日は、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!