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コロナ禍が教えてくれた大切なこと

YouthPost2023年11月号6p「リーダーと語る」
社会の最前線で活躍する方と語り合い、あらゆる角度から地域を見つめる本企画。今回は、和歌山大学サッカー部主将の東修斗さんと対談する。コロナ禍で危機に陥ったサッカー部は、ピンチをチャンスに変えて取り組んできた。その原動力と、そこから得られた気づきは何なのか。大学生の視点に見る地域の現場に迫る。

◆子どもたちの憧れとなるサッカー部を

(中園)コロナ禍で、ピンチになったときのことを教えてください。
(東)2022年春の新入生が1人でした。新入生勧誘の準備も、コロナでなかなかできず。でも僕は、「この新入生不足はコロナのせいじゃない」と思ったんです。だったら「将来はサッカー部に入るために和歌山大学をめざそう」と、地元の子どもの憧れになれる僕らの姿を見せることが知名度アップにつながるんじゃないかと。その頃、関西の他大学のサッカー部員と話す中で、高校生との試合の後に説明会をしたり地域での交通安全に取り組んで、企業協賛をもらっていることを聞きました。大学生は遊ぶこともできるのに、選んでサッカーをするその意味を、他大学のみなさんとの話の中で見つけました。

◆熱量と計画の両立

(中園)知名度アップのため、具体的には何をしているのですか。
(東)交通安全の旗を持って、車の交通整理を月2回ほどやっています。それがきっかけで小学1~3年生の体育の授業を受け持たせてもらいました。サッカー部員が先生方と相談しながら内容を企画して、平日の毎日、交代で。地域のスポ少のサッカーチームにも足を運んだり、地域のお祭りでも交通整理やブース出店の手伝いボランティアなどです。小学生にサッカーを教えるのは男性の先生でも難しいこともあり、子どもたちも楽しんでおり上達も早いと先生方にも好評です。
(中園)その子たちが将来入部してくれることを期待しているんですね。
(東)そうです。最初の頃は「今さえ良ければ」という人もいたのですが、危機感を持ってくれる同級生を熱量で巻き込んでいったら、部内の雰囲気がだんだん変わっていきました。また、今年の春は熱量だけでなくきちんと計画立てて、大学サッカーの魅力を理解いただいて入ってもらうにはどうするか、とやったら10人以上入ってくれました。熱意と計画は両方大事ですね。

◆社会で活きる力とは

(中園)クラウドファンディングにも取り組んだそうですね。
(東)国立大なので規制もあったのですが、OBと協力して行いました。ポスターやチラシを地域の店に貼ってもらったりして、数日で最初のゴールを達成できました。目的の一つはサッカー部の認知拡大だったので、SNS発信だけでなく地元のお店に直接働きかけていきました。
(中園)今、そうしたものが薄れているように感じます。
(東)大学の部活なので相手にされないと思っていましたが、僕らのことを伝えてみるとみなさんが興味持って積極的に聞いてくれたりして、とても嬉しいです。すぐには難しくても、大きな大会を和歌山で開催する時、僕らを応援してくれる人でスタジアムをいっぱいにできたら。
(中園)困ったときに「助けて」と言えない若者が多いなと感じますが、それこそ社会に出た時に活きるはず。みなさんは社会で一歩リードできるのでは。
(東)まさにそこです。僕らはプロになるわけではないので、サッカー経験をいかして社会を出て会社を引っ張っていくくらいのイメージです。停滞していてしんどい時でも、誰かに少し自分の想いを伝えて、良い反応があれば行動に移しやすい。そのおかげで僕らも少しずつプロジェクトが大きくなりました。まずは話して行動するところからですね。

日本青年団新聞(Youth Post)ってなに?
 
日本青年団新聞は1916(大正5)年2月に創刊して以来、青年団の全国機関紙としてその役割を果たしてきました。青年たちを取り巻く環境は、時代の移り変わりとともに大きく変化していますがが、地域課題に向き合う活動や、組織における仲間づくりを訴え続ける創刊当初からの使命は、今なお変わることなく連綿と受け継がれています。
 本紙の持つ意義は大きく分けて3つあります。まず、地域の隅々に住む若者に向け、あらゆる実践等を紹介しながら青年の活動や学習を励ましています。次に、自らの組織内だけでなく地域のオピニオンリーダーとしての役割を担っています。最後に青年の生活と権利、そして大切な故郷(地元)を守るうえで、新聞が理論的な学びや全国の活動を知るための学習資料として活用されています。これらの役割は、発行から100年以上が経った今なお変わりません。2019年にはその愛称を、全国の仲間に向けて募集しました。青年たちの活動が一人でも多くの仲間に届いてほしいという想いから、愛称を「ユースポスト(Youth Post)」とし、全8ページのフルカラーで発行しています。無料の機関紙(広報誌)として、各自治体教育委員会や社会教育関係者、県人会、関係団体等にメール配信を中心に行っています。
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